小川哲史社長

 太平洋工業は、2026年度を最終年度とする中期経営計画と30年に向けた経営構想をこのほど公表した。26年度に売上高2100億円、営業利益率7%以上、自己資本利益率(ROE)8%以上の達成を目指し、30年度には営業利益率とROEを10%以上に高める。電動車向けの売上比率も足元の25%から26年度に50%以上にするほか、新規事業も開拓していく。

 「売上と利益の共成長」「多様な技術による価値創出」「サスティナビリティと経営の統合」「パーパスを実現する人財戦略」を掲げ、持続的な成長を目指す。「高付加価値プレス製品」を増やすほか、電気自動車(EV)向けバルブの開発・生産などに取り組む。セグメント別では、26年度の売上目標2100億円のうち約7割をプレス・樹脂製品、約3割をバルブ製品、20億円を新事業で稼ぐ計画だ。

 小川哲史社長は主力のプレス事業について「ここ数年で冷間超ハイテン材に対応した3千㌧のプレス機を国内外に配置し、大きな製品のベースができてきた。客先への構造提案や、最適な形状、軽量化のアイデアなど、他社にできない新しい提案をしていきたい」と語った。

 2023年3月期の連結業績は、売上高が過去最高の1912億円(前期比16・3%増)、営業利益は92億円(同13・6%減)だった。プレス鋼材の有償受給化により24年3月期は減収を予想するも、販売量の増加で営業増益を見込む。小川社長は「国内では、前年度と比べて10%以上の生産回復になるのではないか」と見通しを示した。