国内で販売する車両から姿を消しつつあるマニュアルトランスミッション(MT)車。「BRZ」の販売終了に伴ってスバルの自社生産車からMTの設定がなくなったほか、ホンダ「フィット」や日産自動車「ノート」といった新型車も発売時点でMTを設定しなかった。一方、乗用登録車に占めるMT比率は1~2%と少ないながらも10年前と比べて大きく変わっていない。MTの設定を重視するマツダなど一部メーカーのモデルが受け皿となっているためだ。“1%”をめぐり、自動車メーカーの戦略が分かれている。

 日本自動車販売協会連合会によると2019年の乗用登録車販売に占めるMT比率は1・4%だった。1990年に約3割、2000年に約1割だったMT比率は、運転の容易さを求めるユーザーの増加や自動変速機(AT)、無段変速機(CVT)の伝達効率向上などを受けて次第に減少。また、先進運転支援機能による緊急時や渋滞時の停止、前方車両追従時の変速との相性が悪いことも近年のMT廃止に拍車をかけている。

 スバルは12年以降、「レガシィ」を皮切りに「フォレスター」や「インプレッサ」などのMTを廃止。ホンダや日産も主力の量販コンパクトカーでMTをラインアップから外した。スポーツカーや商用車といった一部車種を除く大半のモデルがMTとなっているのが現状だ。

 MT設定車縮小の動きに反して、乗用車全体に占める比率が1%に過ぎないMTユーザーに焦点を当てているメーカーもある。代表的なのはマツダだ。ブランディングの一環で車を操作する楽しさを訴求するため、「CX―8」を除く登録車にMTを設定しており、「CX―30」では受注開始から約3カ月間時点で全体の3%のユーザーがMTを選択。マツダのほか、トヨタ自動車やスズキもMT設定車が比較的多い。

 マツダやトヨタが欧州市場の需要も見込んでMT車を設定する一方、ホンダは11月、国内専用車の「N―ONE(エヌワン)」にMTを追加した。開発担当者は「維持費が安い軽で、家族を持つ車好きの男性をつなぎとめたい」とし、約1割の構成比を見込む。「N―BOX(エヌボックス)」など主力軽と比べると量販が見込みにくいモデルであるものの、MTを個性として打ち出し、ブランドイメージの向上に役立てる狙いだ。