丸紅とZMP(谷口恒社長、東京都文京区)の合弁会社であるAiRO(アイロ)は10~12日の3日間、成田国際空港で自動走行貨物けん引車の実証実験を実施した。空港の制限区域内で手荷物を積載し、積み込み拠点から航空機までのルートを自動走行した。同社は2025年の法規制緩和と同時に、実用化を目指す。

 今回の実証実験では、成田国際空港第2ターミナル本館からサテライト、駐機場までの区間を、運搬用コンテナ4台をけん引して往復した。実験にはZMPの自動運転電気自動車けん引車「CarriRo Tractor(キャリロトラクター)25T」を採用した。最大25㌧の貨物をけん引することができる。空港という特殊な環境に合わせて、LiDAR(ライダー)とGNSS(全球測位衛星システム)を組み合わせることで自動運転のシステムを構築した。

 走行中は、事前に制作しておいた高精度走行マップを基に、車両の複数のセンサーから得た情報から自己位置を推定して自動で走行する。

 空港内の他システムと連携していることから、固定カメラ映像から航空機を認識したり、誘導路横断の判断を人工知能(AI)が行う。

 ZMPは、2019年1月に実施した「RoboCar MiniVan(ロボカー ミニバン)」による人の輸送を想定した実証実験をはじめ、これまでにも成田国際空港での実証実験を複数実施してきた。

 人手不足が進む中、空港内における積載物の運搬業務は、スタッフの長時間労働の原因として問題となっていた。同社は将来的な航空需要の回復を見据え、搬送業務の自動化、省人化に向けて今後も検証を実施していく予定だとした。