自動車用メーターやヘッドアップディスプレー(HUD)を手がける日本精機のトップに就いた。初仕事は意識改革だ。「スピード感や仕事に対する姿勢や意気込みが一致していない」と手厳しく評価する。トップシェアのHUDでは「競合が増加し、先行開発の優位性が薄れている」など事業環境が変化している。意識改革によって新たな強みの創出を目指していく。

 入社後はメーターのムーブメントなどの設計に携わった。他社製品と部品点数などを比べては気持ちを奮い立たせた。「技術屋として楽しさを感じた瞬間だ」と語る。1990年代頃に時計のような機構で、車速と針のさす時速に誤差が少ないムーブメントが持ち込まれた。だが、「メーカーの心臓部」である技術の外製化に納得できなかった。そこで新たに従来のノウハウと時計技術を融合したムーブメントを企画した。これは今でも生産が続いている。

 米国で経験した2008年のリーマンショックも記憶に新しい。米ビッグスリーが経営危機に陥り、当時の従業員とその家族が「路頭に迷うことになったら」という不安が頭をよぎった。土砂降りの雨の日、社用車の「ダッチ・ナイトロ」のラジオから流れる当時のオバマ大統領の声に耳を傾けた。得意ではなかった英語を必死に聞き取り、米政府による救済決定にホッと胸をなでおろす思いがした。

 座右の銘は「三日坊主」。一見ネガティブだが、その背景には「新たなチャレンジをどんどんしていこう」という思いがある。雪解けの季節は川釣り、春は山菜採り、秋はキノコ狩りなどで英気を養う。家庭菜園では落花生が育つ。(村上 貴規)

 〈プロフィル〉さとう・こういち 新潟大学理学部卒。1985年日本精機入社。2006年エヌ・エス・インターナショナル副社長、11年取締役、19年代表取締役専務専務執行役員などを経て、20年6月から現職。1962年10月生まれ、57歳、新潟県出身。