サプライチェーンの維持には中小企業の支援が不可欠(写真はイメージ)

 経済産業省が各地方で、自動車サプライヤーの中小企業・小規模事業者を対象とする「自動車関連取引相談窓口」を開設した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、国内完成車メーカーが工場の操業停止などで生産調整を実施している。日を追うごとに操業停止を余儀なくされており、その影響がサプライヤーにも波及しつつある。同省では自動車のサプライチェーン(供給網)に関する経営への影響を各地の相談窓口で受け付け、企業の支援につなげる考えだ。

 4月16日までに完成車工場が立地する中国、九州、中部、近畿、関東の各地方の経済産業局が相談窓口を新設した。新型コロナの終息時期が不透明な中、当面の間は開設の継続を予定する。

 各相談窓口における現状の相談件数は0~1件とわずかだが、完成車メーカーの稼働停止が長引けばサプライチェーンが断絶されるケースも出てくる。「中小規模事業者に影響が出るのは完成車メーカーが生産停止した後になる」(業界関係者)との話もあり、サプライチェーンに関する相談が増加するのはこれからとみられる。こうした相談があった場合は「本省と連携してサプライチェーンの動きや情報を共有できるようにしたい」(相談窓口の担当者)と話す。

 資金繰りなど一般的な経営相談は中小企業支援の窓口などと連携して対応する。現状は資金繰りなどの相談は直接、中小企業支援の相談窓口へ問い合わせる事業者が多いというが、「自動車の部署でも動向をキャッチアップし、生の声を金融支援などにもつなげたい」(別の相談窓口の担当者)と話した。

 国内外で新車需要が低迷し、完成車メーカー各社が生産調整に追い込まれている。1台の車が約3万点の部品で構成される自動車産業では、完成車メーカーの生産停止がサプライヤーに与える影響が大きい。経産省ではそうした課題を把握し、サプライヤーへの施策に活用する。