新型コロナウイルスの感染拡大が国内の実態経済に影響を及ぼし始めている。日本自動車販売協会連合会(自販連)が参考モニター調査しているディーラー8社の受注状況によると、2020年2月の合計受注台数は前年同月比17.1%減と大幅減だった。2月末現在の受注残も78.1%と低水準。2月の国内新車販売台数は同10.3%減の43万0185台と低迷した。自販連では「(販売会社で)来店客が減っており、新型コロナウイルスが影響しているという声はあった」としている。3月から「サポカー補助金」の申請が始まるが、3月2日からの学校の一斉休校やイベント中止によって3月の新車市場も厳しい状況が続きそうだ。

鈴木直道知事が2月28日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため「緊急事態宣言」を出して週末の外出を控えるよう呼びかけた北海道。2月29日、3月1日の週末も多くのディーラーが通常通り稼働した。道内のある販売会社は「この週末の来店は通常の6割程度、受注台数は7割減だった。地域によっては商談予約のキャンセルもあった」という。また、ホンダ系のあるディーラーは「サービス入庫の予約キャンセルはなかったが、新規の顧客の来店が通常の半分程度だった」と、新型コロナウイルスの問題が拡大している。

日本国内では2月中旬ごろから新型コロナウイルスの感染者が拡大、下旬になると人が多く集まるイベントの中止が相次いだ。2月はトヨタの「ヤリス」やホンダの「フィット」など、量販の新型車が発売されたが、2月の新車登録台数は同10.7%減の26万8302台と低迷した。前年同月と比べて稼働日が1日少なかったものの、1日平均の新車登録台数は同5.7%減だった。新車販売が低迷していることについて、自販連では、量販モデルの発売が月半ばだったことや、消費増税、新型コロナウイルスによる先行き不安など、複合的な理由が大幅マイナスの要因と説明する。

2月のブランド別新車販売では、新型「ロッキー」の販売が好調なダイハツと三菱ふそうを除く全ブランドがマイナスとなった。とくに日産は同22.3%減の3万2652台、ホンダが同20.9%減の2万7961台、三菱自動車が同20.7%減の3216台と、大幅マイナスとなった。

また、全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した2月の軽自動車販売台数は同9.6%減の16万1883台と5カ月連続マイナスとなった。全軽自協では、不具合で生産・販売を停止していたホンダの「N-WGN」の販売再開によるプラスの効果はあったものの「一部の販売会社から顧客が外出を控えていることで来店が減っているという声はある」と、新型コロナウイルスが販売に影響しているとの見方を示す。ブランド別ではN-WGNの販売を再開したホンダと、新型「デイズ」の販売が好調な日産だけが前年を上回った。

3月以降の新車市場への影響は避けられない見通し。新型コロナウイルスの影響で中国での自動車部品のサプライチェーン(部品調達網)が混乱、ホンダやスズキ、マツダで中国製部品を採用している国内生産モデルの一部に、納期遅れや生産する順番を調整しているケースが発生している。

政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、人数が多く集まるイベントの自粛や、3月2日から小中高の一斉休校を要請。3月は新車の最大需要期だけに、販売会社では消費者心理が冷え込むなど、新型コロナウイルスが実態経済にも影響することを懸念する声が広がる。3月から政府が高齢ドライバーのサポカー購入などを補助するサポカー補助金制度の受付が開始され、新車需要が喚起されることを期待されていたが、先行き厳しい状況が続く見通し。