2014年7月にパナソニックとテスラが大規模電池工場での協力に合意した当時
テスラのモデル3

パナソニックの津賀一宏社長は11月22日、中期戦略に関する記者会見で、テスラが中国・上海で生産する電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池について「中国生産は現時点ではない」と、中国の工場新設を明確に否定した。テスラは中国でのリチウムイオン電池調達に関しては寧徳時代新能源科技(CATL)などと協議している模様。また、津賀社長は米国ネバタ州でのテスラとの円筒型リチウムイオン電池を生産する「ギガファクトリー」の単月黒字化にめどがついたことも明らかにした。2019年度中にフル稼働する見込みで、下期(2019年10月~2020年3月)の黒字化を目指す。

パナソニックは中期戦略で、2021年度までに不採算事業の撤退や売却する方針を示したが、テスラとのリチウムイオン電池事業に関しては「赤字は一過性。すでに投資ではなく、しっかり利益を刈り取っていくフェーズに入っている」と収益化に自信を示し、事業を継続する方針。

パナソニックとテスラが米国で共同運営しているギガファクトリーは当初、2020年までに年間35ギガワット時を生産する計画だった。しかし、テスラが「モデル3」のスムーズな生産立ち上げに失敗、ギガファクトリーでのリチウムイオン電池の生産も計画通り進まず、赤字事業となっていた。今後の投資を巡って両社の関係も悪化していた。

テスラは現在、リチウムイオン電池に関してはパナソニックとだけ協業しているが、中国・上海に建設している工場で生産するモデル3などのEVは、CATLやLG化学など、他の電池メーカーからリチウムイオン電池を調達すると報じられている。津賀社長は「米国工場から(リチウムイオン電池を)供給する可能性はあるが、中国に新工場を立ち上げる計画はない」と、当面は米国のギガファクトリーの稼働率アップに専念する意向を明確に示した。

米国のギガファクトリーは単月では黒字化するまで改善が進んできたことから今後、安定生産できるようにパナソニックの日本が支援を強化して、半期ベースで2019年度下期の黒字化を見込む。中・長期的には自動化設備を導入して省人化を図り、経営効率を高める意向だ。

津賀社長は「(パナソニックとテスラの)関係は変わっていない。電気自動車で利益を出す可能性が最も高いのがテスラだ。テスラが赤字でも甘んじて支える」と強調した。

一方、国内で円筒型リチウムイオン電池を製造している住之江工場(大阪市住之江区)と貝塚工場(大阪府貝塚市)は、生産設備を一部を見直して固定費を削減、損益分岐点を下げる。