実証実験
イーリス・リーダー
実証実験の航路
今回の実証実験

日本郵船は、船の自動運航技術の実証実験に成功したと発表した。国際海事機関(IMO)が制定している「自動運航船の実証試験を行うための暫定指針」に基づく世界初の実証実験となった。

実証実験に成功したのは日本海洋科学(JMS)が開発した他船と衝突を避けるための操船プログラムを搭載した総トン数7万0826トンの自動車専用船「イースト・リーダー」。9月14~17日に中国・新沙から名古屋港、9月19~20日に名古屋港から横浜港まで、通常の乗組員による当直体制を維持したまま、最適航行プログラムを使って航行した。

実験では、プログラムが航海計器のデータから周囲の状況を把握し、衝突リスクを計算して最適な避航針路を決定、自動で操船する一連の動作を実海域で実施した。実験の結果、シミュレーターでは得られないさまざまなデータを取得し、プログラムが安全性・効率性の高い運航に寄与し、実用化の可能性を確認できたとしている。

海運業界も人手不足が将来の大きな課題になると見られている。日本郵船では高度な先進技術と陸上オフィスからの遠隔支援で船の乗組員の操船業務をサポートする有人自律運航船が課題解決につながるとみている。今回開発したプログラムは遠隔操船や無人運航を実現する有人自律運航船の基礎技術となる。

日本郵船では今後、実証実験で得られたデータを分析してプログラムによる進路と、操縦士が決める進路との差を調整するなど、高度な操船支援技術に向けてプログラムを改良していく。