◆概要と選考方法

 〈対象商品〉2018年4月~19年6月の期間に発表・発売され、アフター市場で注目を集めた商品(自動車メーカーの純正品は除く)。

 〈賞内容〉グランプリ、準グランプリのほか、タイヤ部門、ホイール部門、カーナビゲーション部門など16部門に加え、ロングセラー部門や特別賞を設けた。

 〈選考方法〉本紙紙面での掲載やカー用品販売店、整備専門学校の学生などの協力のもと実施したアンケートを参考に、本紙記者らで構成する選考委員会で選定。販売数量だけにとらわれず、商品開発のアイデアや話題性、業界貢献度、社会状況なども踏まえて総合的に判断した。

◆グランプリ ユピテル ドライブレコーダー SN―TW80d/DRY―TW9100d/DRY―TW8500d/DRY―7500d

 あおり運転などの危険運転が社会問題化する中で、前後2カメラの需要が急増している。同製品はディーラー、カー用品店、部品商向けとそれぞれのニーズに合わせて開発した。フロント、リアカメラともに200万画素CMOS(7500dのリアは100万画像)を採用し、高画質での録画に対応。フロントカメラには、ハイダイナミックレンジ(HDR)を搭載した。リアカメラユニットは、ブラケット一体型とし、リアガラスに近い位置に取り付けられるため良好な視界の確保を実現した。ドライブレコーダーに求められる機能と価格をチャンネルごとに分析し、要望に沿った製品開発を行った点を評価した。

◆準グランプリ メテオAPAC スマートキッズベルト

 後部座席のシートベルトを子どもの体格に合わせて調整できるベルト型幼児用補助装置。日本や米国、欧州の安全認証を取得し、20カ国以上で販売されている。重量も約120㌘と、簡単に持ち運べ、レンタカーやタクシーなどでも使用することができる。対応体重は15~36㌔㌘(推奨年齢は3~12歳)と、長期にわたって使用でき、価格も4980円(税別)と手軽に購入できる。子どもの成長に合わせて、チャイルドシートやジュニアシートを購入する必要がなく経済的であるなどの点を評価した。

◆タイヤ部門賞 住友ゴム工業 エナセーブRV505

 風や重さに踏ん張りが効く、ふらつきにくく快適なミニバン専用タイヤ。新開発の「ふんばりテクノロジー」を採用することで多人数乗車でのカーブ時や不意な横風により発生するミニバン特有のふらつきを抑制する。同社従来品に比べ、耐ふらつき性能は19%向上し、安定した直進・コーナリング性能を実現。耐編摩耗性能も53%向上し、ロングライフも実現した。パターンノイズも34%低減、ロードノイズも31%低減している。

日本グッドイヤー アシュアランスウェザーレディー

 人気が高まっているSUV(スポーツ多目的車)向けに、17㌅以上を中心に13サイズを設定している。アシンメトリックトレッドパターンにより、高いトラクション性能を発揮し、高い静粛性を実現した。また、新開発されたソイビーンオイルテクノロジーによって、低温から高温のあらゆる路面状況で、高いトラクション性能を発揮する。植物系のオイルを採用することで、環境にも配慮した点を評価した。

◆ホイール部門賞 ワーク グノーシスCVD/CVX

 グノーシスCVDはエッジの効いた曲線美を生かしたデザインながら鋳造でのコストパフォーマンスを実現。インパクトを生み出すツインテッドデザインを加えた変則ディッシュデザインは、鍛造でしか生み出せないエッジィなデザインと、鋳造にしか生み出せない柔らかな造形を融合することに成功。CVXは基本的にはCVDと同一のコンセプトを持つ。ツインスポークとメッシュデザインにヒネリを加えたコンケイプモデル。

◆カーナビゲーション部門賞 JVCケンウッド MDV―M906HDL

 彩速ナビとして初めて9V型のHDパネルを搭載し、従来比約2.4倍の高解像度を実現した。さらに、地図も地デジもハイビジョン画質で美しく、かつ高速レスポンスでスマートフォンライクな操作感を実現。ナビ連動型のドライブレコーダーやリアモニター、ハイレゾ音源スピーカーなどとつなげる「スマート連携」もHD化を行うことで、ユーザーへの付加価値提案として有効になると考えられるため選出した。

パナソニック オートモーティブ社 CN―F1XVD/CN―F1DVD

 独自のフローティング構造により、専用パネルを必要とすることなく、380車種以上に大画面ナビが装着できる。多くの車種に搭載可能なため、ユーザーの選択肢を広げた。CN―F1XVDはブルーレイディスクの再生やハイレゾ音源にも対応。さらに「DYNABIGスイングディスプレイ」により、運転席だけでなく助手席からも見やすい位置に角度調整ができるなど、ユーザー目線による製品開発を行った。

◆カーAV部門賞 アルパイン/アルパインマーケティング 車種専用リフトアップ3ウェイスピーカー

 ダッシュボードに装着したアクティブ・トップカバーとツイーターが自動昇降するスピーカー。音質とビジュアルの高さを両立し〝目で見ていい音〟として、音にこだわりを持つ層だけでなく、ドレスアップを重視するユーザーにも訴求を可能とした。車種専用カーナビ「ビッグX」と合わせて提案することで、カー用品店などにおける車載機器の提案力向上と単価引き上げに貢献することなどを評価した。

◆ドライブレコーダー部門賞 コムテック ZDR026

 GPS搭載の高性能ドライブレコーダー。370万画素で前後2カメラ。2.7㌅大画面採用で本体でも見やすい。STARVISを前後に搭載しており夜間でもノイズの少ない鮮明で美しい映像を録画。WDR/HDR搭載で白飛びがない。後方から接近する車両を検知し音声またはアラームで知らせる機能を搭載する。駐車中でも衝撃を検出して衝撃の前後を録画する駐車監視機能もオプションで設定している。

カーメイト ダクション 360 S DC5000

 360度レンズを二つ搭載する全天球モデルのドライブアクションレコーダー。前、後方だけでなく、側面撮影も可能。さらに、前方のみ高解像度で録画を行う「デュアルレック」機能を備え、ナンバープレートの視認性を高めた。車の電動化が加速し、近い将来には自動運転車は身近になることが想定される。車内も撮影できる360度モデルは欠かせないツールになる可能性が高く今後のニーズ拡大が見込める。

◆安全サポート部門賞 データシステム(製造)/オートバックスセブン(販売) ペダルの見張り番Ⅱ

 高齢者などのアクセルとブレーキの踏み間違いによる悲惨な事故が増えている中、需要が急増している。前モデルからの機能は踏襲しながらも、アクセルの踏み込み感度を3段階から5段階に変更。より細かく設定できるようにした。さらに、坂道発進や段差の乗り越え時などに、意図的にアクセルを強く踏み込みたい時は一度だけ装置の機能をキャンセルすることができるボタンを備え、安全性を担保しながらも利便性を高めた。

◆セキュリティー部門賞 エムズスピード/マツモト自動車 リレーアタックガードポーチ

 自動車盗難の手口「リレーアタック」。エムズスピードを運営するマツモト自動車は、この問題で頭を悩ます多くの車所有者の安心・安全を提供するため「リレーアタックガードポーチ」を考案した。同商品はスマートキーをポーチに保管することで、スマートキーの微弱電波と、スマートキーの電波を増幅する機能を持つリレーアタック専用ツールの通信を遮断し、駐車場にある車の解錠を防止する。結果的に、エンジンをかけて車を盗めないようにする。

◆車内快適部門賞 カシムラ ワイヤレス充電器 自動開閉ホルダー KW―7

 ⅰPhone/スマートフォン(qi対応機種)を置くだけでワイヤレス充電ができる。近接センサー・電動モーターを内蔵し、アームが自動的に開閉・ホールドする。「新しくて、面白いものを作りたい」との思いから製品開発につながったという。カー用品店では、実際にユーザーに触れてもらい、体感してもらうディスプレーを展開。充電ホルダーとしては高価格帯ながらも、利便性とユニークさで販売を伸ばしている。

◆洗車・コーティング部門賞 ソフト99コーポレーション レインドロップ

 ガラスとボディーの双方に使用できるコーティング剤。スプレー1本で施工完了するため、作業時間の短縮に貢献する。ボディーは約3カ月、ガラスは約2カ月の効果を発揮する。

 同製品は独自の水ベースの溶剤を開発したことでボディーとガラスの兼用を実現した。グリルやホイール、ヘッドライトなど外装部材にも使用できる。施工時間の短縮と高い撥水性能を評価し、選出した。

◆オイル・添加剤部門賞 ジョイフル ENERGY LUBE

 「SHIELD」「RECOVERY」「STANDARD」の3種類で構成するエンジンオイルのシリーズ。車齢に合わせた提案ができるため、提案しやすく、付加価値型の製品であることがポイント。新規参入が難しいと言われるオイルの業界において、グループであるカー用品店での販売傾向などを分析して開発した。今後は二輪車向けやディーゼル車向けも投入することで、マーケット拡大の可能性も期待できる。

◆大型車部門賞 セルスター工業 CS-31F

 前後2カメラ型のドライブレコーダーの人気が高くなっているが、事業用車両の多くは前方のみを録画するタイプを搭載しているケースが多い。同製品は既存のバックカメラを活用し、前後録画を可能とする。RCA端子があれば取り付けも容易なため、運送事業者などからの引き合いが強い。少ない導入コストで前後2カメラのドライブレコーダーを付けることができるため今後さらなる需要の増加が期待できる。

◆輸入車部門賞 星光産業 AZUTO

 輸入車向けカップホルダーやスマートフォンホルダー、ドアストレージボックスなどのシリーズ。「愛車と過ごす時間をより快適に、美しく、そして自分らしく」をコンセプトに開発した。開発チームは社長以下、社内の車好きで構成し、こだわりを詰め込んだ。車が本来持つ美しさを生かしながら、機能性と見た目を兼ね備え、カー用品の楽しみ方を訴求した点を評価した。

◆カスタマイズ部門賞 藤壺技研工業 VVV(ヴィダブリュ)

 排気バルブシステムを採用し、パワーやサウンドをリアルタイムでコントロールすることができる、新感覚のスポーツマフラー。バルブは専用コントローラーで車内から開閉を簡単に操作することができる。ワンタッチでサウンドが変わるので、環境に合わせた走行を楽しむことができる。騒音規制が厳格化している昨今だが、基準を満たしており、装着したまま車検を受けることが可能。設定車種も順次拡大している。

キャロッセ/CUSCO ジムニー ローダウン&リフトアップサスペンションキット

 大人気の新型ジムニーは、旧型からの乗り換えユーザーだけでなく、幅広い層からも支持を受けており、カスタマイズも多様化している。サスペンションも、これまでのリフトアップだけでなく、ローダウンのニーズもあり、1㌅のローダウン、1㌅と2㌅のリフトアップの3種類のサスペンションキットを設定。ネジスペーサー式車高調調整機能を採用し、ミリ単位の調整を可能とし、カスタマイズを楽しめる点を評価した。

◆アイデア部門賞 バスク AirSafe AS―SV2

 車内にいながらタイヤの空気圧をリアルタイムに確認できる。安心・安全が自動車業界全体のテーマとなる中、タイヤ内部のセンサーからのデータを数値で確認できるため、空気圧管理の手間を軽減し、トラブルを未然に防ぐことができる。空気圧は900kPaまでを監視接待範囲とし、普通乗用車だけでなく、標準空気圧よりも高圧に設定することが多いキャンピングカーや商用車まで対応できる点を評価した。

◆整備サポート部門賞 ベロフジャパン ウルトラキャパシタ ジャンプスターター

 弱った車両バッテリーから製品本体に電気を吸い上げ、溜まった電気を車両バッテリーへ一気に放出することで、エンジンの始動が可能になる。本体に内蔵したウルトラキャパシタは、充放電に優れ、最短45秒で満充電可能で安全に使用できる。12㌾のバイクから6000ccまでのガソリン車、2500ccまでのディーゼル車にも対応するほか、ボートや農耕車なども使用可能なため使い勝手の良さを挙げる声が多かった。

◆二輪車部門賞 デイトナ ストロンガ―ロックセット

 リターンライダーが増加している中、高額なバイクも増えている。一方で、盗難も発生しており防犯は重要なキーワードとなっている。二重に鍵をかけることで、盗難のリスクを軽減することができる。ストロンガ―ロックセットには、スチールリンクロックとワイヤーロックの2種類が用意されそれぞれにディスクロックがセットされ、1本のカギでを共通で使用でき、管理を容易にできる点を評価した。

◆ロングセラー部門賞 プロスタッフ キイロビン

 油膜取りの代名詞という存在で30年以上にわたり高い人気を維持し、大雨の時期は確実に販売が伸びる商品。降雨時の視界不良の原因となるガラスのギラツキや油膜・被膜を確実に除去し、安全なドライブをサポートする。超ガンコな油膜や劣化して見にくくなったガラスコートも酸化セリウム成分がしっかりと簡単に落とす。ガラスコーティング作業の前処理剤としてキイロビンを使えば、ガラスコーティング効果が増大する。

ウェッズ レオニス シリーズ

 1996年のブランド開始から23年、毎年新規デザインを発売し、これまで46種類を市場に投入してきた、ウェッズを代表するブランド。リーズナブルな価格帯ながら、デザインやカラーリング、特殊技術を惜しむことなく採用した。付加価値を盛り込んだ、1ピースドレスアップホイールは、軽からミニバンまで幅広く対応する。将来の自動車業界を担う、自動車大学校生からの支持も高く、ユーザーからの信頼も厚い。

◆特別賞 マツダ マツダロードスター

 1989年9月に発売され、平成の時代を駆けぬけたマツダロードスター。これまで全世界で100万台以上を販売。今年30周年を迎え、記念車を世界3千台限定で販売した。熱狂的なファンに支えられ、日本各地でファンミーティングが開催されている。いまだに初代用のカスタム製品が登場し、用品業界を盛り上げている。現在4代目となり、「守るために変えていく」という志をかかげ、初代が目指していた「誰もが幸せになるクルマ」を最新の技術で再現した。

西脇保彦氏

 全国自動車用品工業会(JAAMA)の理事長を8年間務め、カーインテリア大手のボンフォームの社長、会長としてもアフターマーケットの発展に大きく貢献してきた。製造、販売の業者が一丸となって取り組む「洗車の日」の立ち上げにも尽力。ゴールデンウイークの大イベントとして完全に定着させた。業界発展のためには歯に衣着せる発言も多いが、人柄の良さは業界の誰もが認めるところだ。

TOYO TIRE/トーヨータイヤジャパン ドライブシミュレーターによるタイヤ安全啓発活動

 ハイドロプレーニング現象やタイヤバーストが体感できるドライブシミュレーターを使い、タイヤの重要性や安全面での啓発活動を行う。同社が独自にソフト開発したコンピューター制御を使い、ユーザーにタイヤの状態などの差を体感してもらう。今後はユーザーだけでなく新車ディーラーのタイヤ販売担当者らにもタイヤの状態の違いを理解してもらえるよう、装置の小型化も視野に入れている。