ホンダの倉石副社長
GMのバーラCEO

 ホンダとゼネラル・モーターズ(GM)は10月3日、自動運転技術を活用した無人ライドシェアサービス専用車を共同開発することで合意したと発表した。両社は無人運転ライドシェアサービス事業のグローバル展開の可能性も視野に入れる。ホンダとGMは燃料電池車の開発や電動車向けリチウムイオン電池で協業しており、自動運転領域に拡大する。グローバルで普及しているライドシェアや、自動運転技術によって自動車業界は大きく変革する中、ホンダとGMはドライバーが無人の自動運転車を活用したモビリティサービスの事業化を急ぐ。自動運転車から収集したデータを活用した新たなビジネス創出にもつなげる構え。

 ホンダはGMのライドシェア用無人運転車を開発している子会社のGMクルーズに7億5000万ドル(約850億円)出資するほか、今後12年間にわたって事業資金約20億ドル(約2200億円)を支出する予定。

 無人ライドシェアサービス専用車の電動プラットフォームはGMが開発し、ホンダがデザインや内外装のパッケージを担当。カメラ、レーダー、LiDAR(レーザースキャナー)など自動運転技術に関するハードウエアやソフトウエアはGMクルーズが開発する。量産時期や無人運転車を使ったライドシェアサービス事業の開始時期は明らかにしなかったが、サービスは北米市場から展開する見通し。日本でも「サービス環境が整えば展開したい」(ホンダ・倉石誠司副社長)としている。日本ではライドシェアは「白タク」として禁止されている。

 GMクルーズには、ソフトバンクグループがファンドを通じて22億5000万ドル(約2450億円)出資している。

 GMのメアリー・バーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は、ホンダが新たに協業に加わることについて「世界トップレベルの車両デザイン、開発、生産技術を、GMクルーズに供給できる。無人ライドシェア事業のリーダーとしてグローバルな事業展開を実現する」と述べた。

 また、GMクルーズのカイル・ヴォグトCEOは「新たにホンダが加わることでグルーバルで安全な自動運転技術を普及させるための十分な経営資源を獲得できる。無人ライドシェアサービス専用車で事業拡大を図る」と、事業推進を本格化する意向。

 ホンダの倉石副社長は、自動運転領域にGMとの協業を拡大する理由について「無人ライドシェアや電動化などの先進領域で業界をけん引し、CO2ゼロと事故ゼロという共通ビジョンを持っているから」としている。

 ホンダでは今後、ライドシェアなど新たなモビリティサービス領域では他社との協業を積極的に展開している。「(様々分野で)ウインウインの可能性があれば色々なところと協業していく」(倉石副社長)構え。

 今回、ホンダの出資によってGMクルーズの企業価値評価額は146億ドル(約1兆600億円)になると算定されている。