国定忠治が捕り方に追われて赤城山を落ち延びる時、大勢いた子分は１５人ほどに減っていた。とはいえ、人数が集まっての逃避行では目立っていけない。長い草鞋を履かなければならない忠治親分の伴をする３人の子分を選ぶ様子を描いたのが菊池寛の短編「入れ札」である◆子分達は、向後、他国での人目を忍んでの艱難辛苦が予想される親分を託するに足る仲間を選ぼうとする。し…