公正取引委員会(公取委)は3月30日、下請代金支払遅延等防止法(現・中小受託取引適正化法)に違反する行為があったとして、ワイヤーハーネスや関連部品を製造する矢崎部品(矢﨑陸社長、東京都港区)に費用の支払いや再発防止を求める勧告を出したと発表した。受注者131社に対し、金型や製品サンプル、品質記録帳票類を無償保管させていた。製品サンプルや帳票類の無償保管による勧告は、全国初という。
矢崎部品は矢崎総業の100%子会社。同社は遅くとも2023年9月1日以降、受注者69社に対し、該当の部品を長期間発注しないにも関わらず、金型などを無償で保管させていた。該当の金型などは計5235個に上り、大きいものでは1トンになるという。
84社には、製造委託した部品と同一の製品サンプルを、119社には作業や検査記録といった帳票類の書面または電磁的記録を無償保管させていた。これらはいずれもリコールなどの際に原因を特定するために必要となるもの。製品サンプルは、1日に300~400個発生するなど、保管に多くの場所を要していた。
これらの行為は、下請法における違反行為である「不当な経済上の利益の提供要請」に該当する。
矢崎部品の資本金は5000万円で、資本金区分上は下請法の対象となる取引に当たらないが、同社が親会社の矢崎総業から委託された相当部分を取引先に再委託していたなどの要件を満たすことから「みなし運用規定」が適用された。公取委によると、今回の行為に親会社の関与は認定していないという。
公取委の関根由詔上席取引適正化検査官は「帳票類の無償保管も、(金型同様)業界で広く行われている行為だと聞いている」と説明した。
矢崎部品は「厳粛に受け止め適正な取引への是正、問題が発生しないよう徹底する」とコメントした。
部品メーカーにおける金型の無償保管を巡っては、今年に入り、ティラドや松尾製作所(松尾基社長、名古屋市南区)が勧告を受けている。
(2026/3/30更新)

















