公取委、松尾製作所に下請法違反で勧告 部品の原材料を過去にさかのぼり値上げ 全国初の事例

公正取引委員会は3月17日、松尾製作所(松尾基社長、名古屋市南区)に対し、下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)で再発防止を求める勧告を行った。下請事業者に有償で支給した原材料について、「評価替え」として過去にさかのぼって値上げし、差額分の支払いを要求したという。評価替えによる勧告は全国初という。さらに、自動車用部品の金型を長期間無償で保管させたとしている。同社は、価格改定により下請事業者が支払った差額の全額と、金型の保管費用に相当する金額の一部を既に支払った。

松尾製作所は、エンジンやブレーキの部品を製造する。公取委によると、下請事業者に販売した製品の原材料について、2024年11月と25年5月の2回にわたり価格改定を行い、下請事業者が在庫として保管している鉄や銅といった原材料の重量に応じて、差額を要求した。下請事業者6社に提供させた金額は、総額4495万7304円に上る。公取委の調査で松尾製作所は、一時的に価格改定分の差額を支払わせたとしても、製品単価を上げれば相殺できるとした。しかし、保管中の原材料を使用する製品が必ず発注される保証は無いと判断し、勧告に至った。

また、遅くとも24年6月以降、下請事業者12社に長期間発注していない製品の金型など計759個を無償で保管させていた。

公取委事務総局中部事務所の加瀬川晃啓総務監理官は、全国初となった評価替えによる勧告について、「決して多い事例ではないとみている。ただ、今回の公表で同様のケースが寄せられる可能性はある」と述べた。

勧告を受けて松尾製作所は、「厳粛に受け止め、同様の問題が再発することのないように運用の改善を徹底する」とコメントを発表した。

下請法は1月1日から法改正により中小受託取引適正化法(取適法)と名称が変更されたが、今回の事例は改正法施行前に発生した製造委託のため、下請法が適用される。

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