独メルセデス・ベンツ(MB)のグループが出資して設立したメルセデス・ベンツ・ハイパワー・チャージング日本(アンドレアス・レーア社長、千葉市美浜区)は8日、MBの電気自動車(EV)ユーザー向けに従量課金型の充電サービスの提供を開始したと発表した。メーカーやインポーターが、出力に応じて料金が決まる従量課金を採用するのは珍しい。これまでは、充電器と車両をつないだ長さで課金する時間制が一般的だった。同社は充電量によって料金が決まる仕組みが、ユーザーの納得が得られやすいと判断したもようだ。

 同社の充電会員サービス「エムビーチャージパブリック」の料金体系を見直し、1㌔㍗時当たり94.6円で対象の充電器を利用できるようにした。基本料金は月額5720円。この充電器はパワーエックス(伊藤正裕社長、岡山県玉野市)製で、150㌔ワット級の急速充電器となる。これ以外の充電器は、従来通り1分当たり16.5円の時間制で利用可能だ。

 新たな充電器は同日、千葉市中央区の千葉公園に設置した。今後、千葉県柏市や東京都世田谷区にそれぞれ2基4口を設置するほか、今後、都内や愛知県、大阪府など大都市圏を中心に拡大する方針だ。

 急速充電器をめぐっては、高出力化の動きも活発になっている。適切な費用を徴収しやすい従量課金制であれば、出力アップに伴う投資コストも回収しやすいとの指摘もある。これまでは法規制などが課題で採用が進んでこなかったものの、パワーエックスがすでに自社の充電サービスで採用しているほか、eモビリティパワー(幸加木英晃社長、東京都港区)も今後導入する見通しだ。