黒の外装品が目立つヴォクシー
ノアも同じコンセプト
コーデバイの認知拡大を目的にアウトドアイベントに出展

 マーケティングなどを手掛けるトヨタ・コニック・プロ(武田淳一郎社長、東京都千代田区)が、トヨタ自動車の中古車に独自のカスタムを施した「スタイルドカー」の提案に取り組んでいる。中古車でも個性的な車に乗りたいといったニーズに着目。この車両を取り扱うブランド「コーデバイ」を2023年に立ち上げた。「自分らしさを表現する」(担当者)ようなカスタム車を用意し、新たな需要の開拓を狙う。

 現在、スタイルドカーはミニバン「ヴォクシー」やハイブリッド車(HV)「プリウス」など計4車種を販売している。基本的には、全国のトヨタディーラーなどを通じた受注生産の形をとっている。受注後、約2、3カ月間かけて車両を製作し、トヨタの販売店で納車する。

 実は、各モデルはカスタムで実績をもつ事業者と連携して生み出したモデルだ。例えば、ヴォクシーは中古車販売のフレックス(藤崎孝行社長、東京都港区)が手掛けているカスタム車のブランド「リノカ」の協力を得た。「都市でも自然でも使い勝手がいいクルマ」を、リノカの商品開発チームとともに追求したという。外装は黒色の部品で印象を引き締めつつ、自然界をイメージした「アースカラー」の車体色が特徴となっている。

 独自性のあるデザインに加え、トヨタブランドの安心感が顧客に受け入れられ、販売台数は徐々に伸びているという。主な購入者はファミリー層やアウトドアユーザーで、特にミニバンの人気が高く、これまで販売したモデルのうち半数以上を占めている。

 車体や内装に個性的なカラーを採り入れることに興味がある顧客は一定数いるとみられるが、自身による本格的なカスタムには及び腰なケースが少なくない。このため、スタイルドカーのように、カスタムと中古車をセットで提案する商品のニーズはあるとみられる。

 実際、トヨタ以外でも、こうした動きをみせる。24年には日産自動車と奈良日産(田代雄亮社長、奈良県大和郡山市)が認定中古車と用品パッケージをセットで販売するサービスを始めた。

 潜在的な市場は小さくない一方、課題もある。その一つが、「コーデバイの認知度がまだ低い」(担当者)ことだ。トヨタ・コニック・プロは情報発信を強化していく方針だが、現在の取扱店舗は5カ所にとどまる。同社は販売網も強化していくことで、受注拡大を目指す考えだ。

(舩山 知彦)