ホンダ「EV FUNコンセプト」
ホンダ「CB1000Fコンセプト」
ヤマハ発動機「MT―07」
ヤマハ発動機「ファッジオ」
カワサキ「ニンジャ7ハイブリッド」
ビモータ「KB998リミニ」
スズキ「DR―Z4S」
BMWモトラッド「R20コンセプト」
中国二輪車メーカー「QJモーター」のブース
ホンダ「電動過給機付きV型3気筒エンジン」

 「第52回東京モーターサイクルショー」が3月28~30日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された。2024年の国内二輪車市場は4年ぶりに40万台を下回ったものの、3日間合計の来場者数は合計11万8812人と前回より4.3%増え、根強い人気を示した。各社はリターンライダーのつなぎとめとともに、若者のバイクファンを増やそうと、消費者の興味を引くさまざまなモデルを展示した。

 ホンダブースで、リターンライダーから熱い視線を注がれていたのが1980年代にヒットした「CB―F」シリーズをモチーフとしたデザインを採用した「CB1000Fコンセプト」だ。ホンダのロードバイクブランド「CB」の旗艦モデル「CB1300」は生産終了が決定しているものの、ホンダモーターサイクルジャパンの室岡克博社長は「CBの進化の最新の回答がCB1000Fコンセプト。近い将来、顧客に届けることができるよう開発を進めている」と市販化を検討していることを明らかにした。

 電気自動車(EV)「EV FUN(ファン)コンセプト」も国内初公開した。固定式バッテリーを搭載した中型排気量相当のネイキッドタイプのスポーツバイクで、25年に市場投入する計画だ。

 また、内燃機関モデルの新たな挑戦として二輪車で世界初となる「電動過給機」を搭載したバイク用V型3気筒エンジンを展示した。インタークーラーが不要となるため、設計の自由度が高く、軽量化にも貢献するという。

 ヤマハ発動機は、排気量125ccエンジンにスマートジェネレーターを組み合わせたハイブリッドシステムを採用したスクーター「ファッジオ」を参考出品した。

 東南アジア市場で先行投入する同モデルは、レトロな外観が特徴。ブースでは純正用品も展示して自分好みにカスタマイズする楽しみ方を提案した。今秋以降、国内市場に投入する予定だ。

 年内投入予定の「MT―07」や「トレーサー9GT+」は、マニュアルトランスミッション(MT)仕様をベースとしながらクラッチレバーやシフトペダルを廃した「Y―AMT」をアピールした。スクーターなどで採用しているオートマチックトランスミッション(AT)や無段変速機とは異なり、スポーツ性能を維持しながら利便性、快適性を備える機構で、シフトチェンジはハンドルのシフトレバーで操作するなど、新しいライディングの楽しさを提案する。

 カワサキモータース(川崎重工業)のブースでは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)を含むスポーツモデル「ニンジャ」シリーズを展示したほか、エンジンを供給するイタリアの高級ブランド「ビモータ」の3モデルも日本で初公開した。「硬派」や「無骨」なイメージでコアなファンが多いカワサキブランドだが、電動やプレミアムなどの新たな切り口でライダー層の拡大も視野に入れる。

 スズキは、約20年ぶりに投入する排気量400ccのオフロードバイク「DR―Z4S」とモタード「DR―Z4SM」を初出展した。参考出品した原付一種の折りたたみ電動モペット「e―PO」は昨年、公道試験を実施できるレベルにまで進化した。国内販売に向けて今後、開発を加速する。

 スズキブースでは「スズキオシフェス」と銘打ち、来場者に好きなスズキのバイクを投票してもらうイベントを実施した。オリジナルWEBショートドラマの紹介、格闘ゲーム「ストリートファイター」とコラボレーションした車両の展示など、若年層のバイクファンづくりを狙って工夫を凝らした。

 輸入車ではBMWモトラッドが日本初公開となるコンセプトモデル「R20コンセプト」を展示した。ハーレーダビッドソンやトライアンフは25年モデルを展示し、多くのライダーが新型車にまたがりライディングのイメージを膨らませていた。

 一方、会場中央で異彩を放っていたのが東京モーターサイクルショー初出展となる中国の二輪車メーカーのQJモーターで、排気量125ccのスクーターから700ccのツアラーまで幅広いラインアップを展示した。最も目立つ場所には日本市場に本格導入する予定の排気量400ccのスポーツモデルとクルーザーモデルを展示した。QJは現在、中国・九州地区を中心に販売ネットワークを展開しているが、今回のショーを機に全国展開を検討している。

 国内では四輪車でも中国のBYD(比亜迪)が23年1月に乗用車市場に参入して徐々に存在感を高めている。二輪車市場での中国地場系の動向が注目される。