2024年の二輪車販売(出荷ベース)は4年ぶりに40万台水準を大幅に割り込んだ。特に通勤・通学やエントリー需要が多い第二種原動機付自転車(原付二種、排気量51~125cc)と二輪軽自動車(軽二輪、126~250cc以下)の落ち込みが目立った。一方で、第一種原動機付自転車(原付一種、50cc以下)は排ガス規制前の駆け込み需要で出荷を伸ばした。コロナ禍のバイクブームが一服した国内の二輪市場。25年4月からは、最高出力を抑えた125cc以下の二輪車が原付免許で運転できる。28日開幕の東京モーターサイクル(MC)ショー、名古屋MCショー(4月4~6日)、ジャパンモビリティショー2025(10月30~11月9日)などの効果も合わせ、成熟市場としての成長が期待される。
日本自動車工業会(自工会、片山正則会長)によると、24年の国内出荷は36万7960台(前年比9.2%減)で、2年ぶりに前年実績を下回った。
国内市場は年間300万台規模を誇った1980年代がピークで、以降は少子高齢化や四輪への移行、規制対応により値上げなどの複合要因によって減少傾向に歯止めがかからず、2015年以降は30万台水準で推移する。新型コロナウイルスが猛威を振るった22年は〝密〟を避ける手段として人気に火がつき、40万台超に回復。メーカー各社による新型車効果のほか、二輪免許取得者や「リターンライダー」の増加によって23年まで40万台を維持してきたが、24年に入りバイクブームは沈静化した。
車種別でみると、原付二種の出荷台数が同24.7%減の11万2653台、軽二輪が同20.2%減の5万7180台と大きく落ち込んだ。一方、原付一種は同18.6%増の11万126台だった。25年の排ガス規制強化で「採算が合わない」と生産撤退の動きがあり、駆け込み需要が起きたようだ。
メーカーが国に働きかけた結果、エンジンの最高出力を4.0㌔㍗(5.4馬力)以下に抑えた125cc車を原付一種として扱う新制度が4月1日からスタートする。ただ、自工会では「多くの人が『原付免許で原付二種に乗れる』と誤解している」として、運転免許試験場やバイク販売店などでのポスター掲示やSNS(交流サイト)を通じた啓発活動を展開している。
25年の市場見通しについて、自工会二輪車委員会の設楽元文委員長(ヤマハ発動機社長)は「コロナの特需が落ち着き、去年並みの水準となるのではないか」と予想する。自工会としては、二輪車ファンづくりを進めるとともに、交通安全啓発なども進めていく方針だ。設楽委員長はまた、足元の課題として中高年ライダーの運転マナーや事故増加に懸念を示し「中高年ライダーがマナーも含めて模範となるような乗り方をすることで、日本でのバイク文化定着につながる」と語った。
任意保険加入率の低さも課題だ。24年3月時点で、国内約396万台(125cc以上)に付帯するバイク単体での任意保険加入率は46.7%にとどまる。要因としては、保険料の高さや複数保有者の負担増といった要因が考えられる。自工会は、こうした二輪ユーザーの声を基に損保会社と意見交換し、加入率を高めていきたい考えだ。