国交省と警察庁による特定原付の合同街頭取り締まり

 昨夏から解禁された電動キックボードなどの「特定小型原動機付自転車」について、昨年7月の改正道路交通法施行から半年で交通違反検挙数が7130件だったことを警察庁が明らかにした。「通行区分違反」が最多だが「信号無視」「酒気帯び運転」などの悪質な違反もあった。国土交通省によると、保安基準を満たさない電動キックボードもインターネットなどで売られているという。利便性と交通安全の両立に向け、課題がなお多いようだ。

 特定小型原付は、定格出力(0.60㌔㍗以下)や最高時速(20㌔㍍以下)などの要件を満たした車両で、16歳以上なら運転免許なしで運転できる。ただ、警察庁によると検挙件数は月を追うごとに増えており、昨年12月は7月の約5倍(1879件)にまで増えた。事故は85件で、死者はいなかったが86人のけが人が出た。

 人混みの中を疾走する電動キックボードに驚く人も多い。損害保険ジャパンの意識調査(調査対象1076人)によると、電動キックボード利用者を見て「危険だと感じたことがある」と回答した人は8割近く(78.8%)に上った。危険を感じた場面では「歩行者と接触しそうな距離でのすれ違い」「2人乗り、逆走、スピードの出し過ぎ」などの声が寄せられた。

 一般的な自動車と異なり製造・販売事業者が多いぶん、違法な車両も紛れ込んでいるようだ。国交省が国内で販売を確認した特定小型原付は昨秋時点で81車種ある。このうち22車種は保安基準適合性を確認済みだ。

 残り59車種について、国交省「自動車不具合情報ホットライン」などに寄せられた情報をもとに、保安基準不適合の恐れがある10車種を選んで現車を確認したところ、6車種で実際に保安基準を満たしていないことが判明した。具体的には「灯火器類の光量不足など」が4車種と最多で、「走行安定性不良」と「制動力不足」も1車種ずつあった。いずれも製造事業者らに改修措置などを指導した。

 国交省は、特定原付の保安基準適合性を確認する「性能等確認制度」を2022年12月に創設。保安基準の適合を確認した特定原付の型式を同省ホームぺージで公表しているほか、車体には「性能等確認済」を示すシールが貼付されている。同省は残り49車種の確認を進め、警察庁、消費者庁、経済産業省とも情報共有して保安基準不適合車両の排除に取り組む考えだ。