グリーンキャブ(髙野公秀社長、東京都新宿区)は、都内で「ライドシェア(相乗り)問題」をテーマに記者懇親会を開いた。同社からは高野社長らが出席。普通二種運転免許を持たない一般ドライバーが自家用車で旅客輸送を担うライドシェアの安易な解禁は、車両整備を含む安全確保や事故対応、配車サービスなどの課題があり、容認しがたいとの見解を改めて示した。その一方、二種免許がないドライバーでも、タクシー会社の管理によって乗務を可能にする〝アルバイト乗務員〟のような制度づくりが、運転手不足の解消に役立つと提言した。

 ライドシェアは、少子化やコロナ禍などの影響で乗務員が不足し、タクシー需要が満たされていないことから、解禁を求める声が上がっている。しかし、高野社長は「お客さまが納得する配車サービスができるのか。悪質業者の参入も心配だ。また、事故が起きてしまった時、被害者に対する責任の所在が明確ではない。国、行政はどこまで責任を負うのか」と、制度設計にさまざまな課題があると指摘した。「ライドシェアを解禁したら、すべて満足いく結果が得られるのだろうか。この部分は公開された場で大いに議論して、真実を見てほしい」とも述べた。

 その上で「アルバイト的な乗務ができれば、人手不足が解消できるのでは。それはライドシェアはなく、きちんと車両や乗務員を管理しているタクシー会社でこそ行える」と、アルバイト乗務員について言及。「当社でも、8割程度しか車両が動いていない。これが全部稼働できれは、タクシー不足もある程度、解消してくるはず」とし、タクシー会社で対応可能な新制度を検討すべきとした。

 さらに、全国一律の制度を見直し、都市と地方の交通網の違いなどを考慮して各地の特性に適したタクシー運行を可能にする法整備も要望したいとした。

 乗務員不足については、昨年、都内で15年ぶりに認可された運賃値上げを賃金に反映できたため、改善が進みつつあるとした。