3日の群馬県庁での発表会では須藤社長(左から3人目)のほか山本一太知事(同4人目)らも出席した

 日本ミシュランタイヤは3日、8月1日付で本社機能の移転を終えたと発表した。新本社となる群馬県太田市の研究開発拠点では、自社製品の開発に加えて、地元企業や自治体、大学と連携し、物流の「2024年問題」や製造業のデジタル化などの解決に取り組んでいく。新たに「コラボレーションスペース」を設けるなど産学官連携を強め、社会貢献を進めながらブランド力を高めていく。

 同社は2021年12月に本社移転を発表し、準備を進めてきた。今後は、群馬を拠点に次世代タイヤなどの開発に取り組みながら、地元の産学官とも連携し、社会課題の解決にも取り組む。

 一例として、8月から「ぐんまの運輸デジタルイノベーション」プロジェクトを始めた。美松運送(松原二三男代表、群馬県藤岡市)、運行管理ツールを手がけるドコマップジャパン(浦嶋一裕代表、東京都港区)、群馬大学と連携し、物流業界が抱える人手不足などの対応策を立案する。タイヤ摩耗状況などのデータを美松運送での点検効率化に活用するだけでなく、動態データを群馬大に提供し、待機時間や燃費悪化要因などさまざまな課題の解決を図る。群馬県も「デジタルイノベーション加速化補助金」の交付を決めた。

 コラボレーションスペースは、イノベーション(革新)創出の拠点とし、地元で作られるコンテナ型の構造とし、容易に増床できるようにした。金属3D(3次元)プリンターを備えた「AMアトリエ」も県内外の企業が使えるようにする。

 移転に伴い、社員100人が東京都新宿区の旧本社から新本社への異動対象になった。リモートワークや、都内と本社とを結ぶシャトルバスの運行など、働きやすい環境を整える。太田市に転居した須藤元社長は「群馬から世界へ、仲間の皆さんと一緒に未来を作っていきたい」と語った。