カーボンニュートラル燃料で走るGR86

 トヨタ自動車は、レース活動を通じてカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)燃料のコスト削減につながる取り組みを来年から始める。自動車競技を通じて燃料特性などを見極め、低コスト化に必要な要件を燃料メーカーに伝える。カーボンニュートラル燃料は国内外のメーカーが製造しているが、少量生産にとどまる上、コストが高い。普及には安定供給と低コスト化が不可欠のため、自動車メーカーとしてコスト削減に協力していく。

 来年3月に開幕する国内競技「スーパー耐久シリーズ」からこうした取り組みを始める。トヨタはスーパー耐久シリーズの今シーズンから開発中の車両でエントリーできる「ST―Qクラス」にカーボンニュートラル燃料を使用した「GR86」を走らせている。また、スバルもトヨタと同じ燃料を用いて「BRZ」で参戦。両車は兄弟車だが、GR86は「GRヤリス」のターボエンジンに換装しており、異なるエンジンでカーボンニュートラル燃料の特性などを検証している。

 競技で使うカーボンニュートラル燃料は海外製だが、今シーズンはJIS規格化もにらみ、出力や信頼性向上に向けた燃料側の改善項目を洗い出したり、エンジン側の燃料噴射法などを研究してきた。こうした取り組みを通じ、燃料メーカーに対して燃料性状の改善も提案している。

 来シーズンは、改善されたカーボンニュートラル燃料を試すとともに、市販車での利用を想定した信頼性や排ガス性状の検討を進める。さらにコスト削減に向け、燃料成分や製造工程などについて、自動車メーカーの視点から提案していくという。

 成分などにもよるが、競技で使われるカーボンニュートラル燃料の価格は1㍑当たり1千円から、高いものでは1万円する。既存の燃料網やエンジンに大がかりな改良を加えることなく利用できるが、普及には安定調達とともにコストの大幅な引き下げが欠かせない。

〈用語解説〉カーボンニュートラル燃料

 燃焼時に出す二酸化炭素(CO2)を原料などであらかじめ吸収し、温室効果ガスを実質的に減らせる燃料全般を指す。バイオマス(生物資源)を使用したり、CO2と水素を合成する「合成燃料」などがあるが、明確な定義はない。普及には安定供給と低価格化がカギだが、回収したCO2と燃焼時に排出するCO2が整合するかどうかや、再生可能エネルギーを使って水素を製造しないとCO2が排出されるなどの課題もある。