〝カイクラ〟で一人のお客様に店舗全体での対応が可能に
成瀬英之取締役

 欧州輸入車5ブランドを取り扱い大阪、東京、和歌山の3府都県で14拠点を展開するフォーシーズンズ(佐藤賢一社長、大阪府泉佐野市)。正規ディーラーとして車両の電動化、所有形態の変化など〝100年に一度の大変革期〟を迎えるなか、「お客様との関係性の再構築」に取り組み始めた。その実現に向けては「感動を与える接客」ができるかどうかを〝カギ〟と位置付ける。こうした状況のなかで、シンカ(江尻高宏社長、東京都千代田区)が提供する「カイクラ」が欠かせない存在になっている。

電話を取る前に誰からのコールか事前に把握。〝電話のみえる化〟を実現

 カイクラは〝会話クラウド〟の略。既存の車両管理ツールや顧客管理ツールと紐づけることで、着信時に相手の情報を瞬時にパソコンブラウザに表せる。つまり、受電前に誰からのコールか事前に情報が把握できる。「電話のみえる化」を可能にする。
 顧客リストには名前、車種、ナンバー、営業担当者名、車検到来日、保険満了日などの情報に加え、現在の対応状況などが確認できる。

お客様からの折り返し電話へのスムーズな対応で高い信頼を獲得

 導入に立ち会った同社の成瀬英之取締役は「通話履歴を記録として残せるいいツールだと思った」と当時の印象を振り返る。
 顧客からの折り返し対応がスムーズになり、仮に営業担当者が商談中に受電した電話に対応することができなくとも、すぐに折り返し対応ができるようになった。
 導入前は顧客の名前やナンバーを聞き直していたが、こうした手間がなくなった。また「お客様の立場からしてみれば、『私どもからの電話に対し、せっかく折り返したのに何でわからないのか?』という思いを抱かれる方も多かったと思うが、こうした課題も解消することができた」(成瀬取締役)。
 導入後はCSに対する社内的な意識も大きく変わった。〝いかに接客応対でお客様に感動を与えられるか〟。個々の社員はもとより、社内全体で突き詰めて考えていくことに対する機運が高まった。成瀬取締役は「一連の成果として、お客様に『しっかりした会社だな』と印象付けられていること実感している。お客様の信頼性を得ることにつなげられている」と手応えを示す。

様々な機能に対する理解を深めるとともに蓄積した情報を基に商機を獲得

 カイクラは様々な機能で構成するツールだ。「履歴機能」により着信時刻が把握できる。例えば定休日に着信があり、翌日に折り返す場合、「お休みを頂いており申し訳ございませんでした。何かありましたでしょうか?」などの文句を会話の前に挟むことで、顧客の気持ちに寄り添った高い電話応対品質の実現につなげている。
 お客様から受けた内容や誰が受けたかどうかを記録として残すことのできる「メモ機能」は、受電時に車検入庫予約待ちかどうかなどステータス・折り返しの目的を共有できる。これにより「営業ではなくサービスなど別の部署のスタッフが受けてもスムーズなやり取りが可能になった」(成瀬取締役)。
 受けた電話に対してメモを残すかどうかは個人の裁量に依るところが大きいが、同社では〝メモ率100%〟を目標に掲げ、例え一言のメッセージであってもメモすることを徹底している。
 それがもたらす成果は高いCSの実現や業務効率化だけに留まらない。同社では顧客の誰からスタッフの誰宛てに着信があったのかなど様々な情報を集約・分析することで、車両販売や入庫に結びつけることにも成功している。成瀬取締役は「お客様との会話、やり取りは会社にとって財産になる」と強調。営業戦略を考える上でもカイクラが欠かせないツールになっている。

開封率の高いSMS機能を使った独自の施策が評判に

 カイクラを語る上で欠かせないのが「SMS機能」だ。開封率が高いとされるSMSを利用することで、キャンペーンや車検点検入庫など各種案内を効率よく展開できる。
 同社ではCSを高めるための取り組みとして、営業担当者とメカニックによる〝お礼の動画〟を撮影し、車両購入客や入庫客に対し、SMSで動画リンクを配信するサービスを展開し始めた。「メカニックが〝がちがち〟に緊張した姿で挨拶する姿なども時折みられ、受け取ったお客様から喜ばれている」(同)という。
 こうした一連の様々な機能を使いこなすとともに利用することで〝できること〟の幅を広げていくことができることもカイクラの魅力の一つ。
 同社では今後も続々とリリースされる新機能に対する理解の深化に余念がない。「さらなる顧客の感動を呼ぶ」接客応対に磨きをかけていきたい考えだ。