ジールス 執行役員 渡邊大介(わたなべ・だいすけ)氏

 ユーザーから得たデータを企業活動に利活用する動きは、自動車業界のみならず、さまざまな分野で行われている。一方で、プライバシー情報保護の観点から、データの使用について規制を設ける動きも出ている。接客デジタルトランスフォーメーション(DX)事業を展開するジールス(清水正大代表取締役CEO、東京都目黒区)と日刊自動車新聞社は、10月13日にポストクッキー時代における自動車業界のデータマーケティングをテーマに、オンラインセミナーを共催する。当日は、データの分析や活用を行うプラットフォームサービスを提供する企業3社が登壇する。今後3回にわたり、登壇企業のプレインタビューを連載する。初回は、ジールスの渡邊大介執行役員に話を聞いた。

10月13日にオンラインセミナー

 ―マーケティング分野で変化が起きている
 「市場調査方法の見直しが進められている。従来は、ウェブサイトから横断的にユーザーの閲覧傾向などを追跡し、リターゲティングなどの広告手法に活用する『サードパーティークッキーの利用』が行われてきた。しかし、プライバシー情報保護の観点から廃止が進んでいる。そのため、これからはユーザーを追い回すような手法ではなく、適切な関係を構築した上での活用が求められる」

 ―サードパーティークッキーが廃止されたあと、マーケティング手法はどうなるのか
 「データの収集や活用については、ユーザーのプライバシー情報の保護と顧客理解の深化の両方が求められるようになる。具体的な手法としては複数あるが、当社では、ユーザー側が積極的に開示した個人データを活用する方法に注力しており、そのためのツールとしてチャットボットを活用している」

 ―自社サービスの特長は
 「まず、チャットボットとの会話は、ユーザー側が望んで利用しなければ始まらない。もし回答したくない場合はユーザーの意思で終了できる。そのため、会話を通して開示された情報は、ユーザー側が同意した上で得られたものになる。サードパーティークッキー活用時の『いつの間にか追跡されてデータを取られている』といった手法とは変わり、ユーザー側が自ら情報を提供してくれる状態となっているため、プライバシー情報保護の面でも理想的なデータ収集ができると考えている」

 ―現在の自動車業界の課題はどういったところにあるか
 「業界としては今後、新規ユーザー獲得と生涯顧客価値の向上の両立が至上命題となるだろう。そのためには、ユーザーデータの有効活用が重要になるが、担い手となるメーカーとディーラーの連携が不十分な場合がある。メーカーが持つマーケティングデータを、ディーラーの営業担当者が把握することで顧客体験価値を向上し、新規獲得につなげられるほか、店舗でしか把握しえない顧客情報をデータ化することで、新たな広告手法へ活用できるようになると考えている」

 ―企業への導入事例は
 「自動車業界で言えば、メーカーのサブスクリプションサービスやディーラーでの入庫予約などで導入されており、セミナーでは導入事例も交えながら、チャットボットの活用について講演したい」

無料オンラインセミナーへの参加申し込みはこちらから。
https://zeals.co.jp/njd_zeals02_w221013