三菱ケミカルホールディングスグループが手がける負極材

 三菱ケミカルホールディングスグループは30日、リチウムイオン電池向け負極材の生産能力を増強すると発表した。中国の生産拠点で負極材の生産能力を、2023年度前半をめどに現在の6倍となる年産1万2千トンに引き上げる。北米、欧州で事業展開する豪州の2社との協業で、欧米での負極材生産も検討する。電気自動車(EV)シフトなどを背景に需要拡大が見込まれるリチウムイオン電池材料の需要に対応する。

 同社が手がける負極材は、製造工程で温室効果ガス(GHG)排出量が少ない天然系黒鉛を原料としている。加えて、電池の寿命に影響する膨張を抑制する独自技術によって、一般的に使用されている人造系黒鉛の性能を上回っていることから受注が伸びている。中国で、これらのグレードの負極材の生産能力を大幅に増強する。

 また、欧州や北米で車載用電池を生産する動きが活発化していることから、欧米での負極材製造を検討する。米国で負極材を製造している豪シラー・リソーシーズと、ノルウェーで負極材を生産する豪ミネラル・コモディティーズと協業に向けた覚書を締結した。三菱ケミカルの負極材製造技術と、両社が採掘する黒煙の適合性を評価、協業内容を詰める。