日産自動車は、使用済み車載電池の性能を計測器を使用することなく解析する技術を2022年度内にも実用化する。従来は専用機器で全数計測していたが、電動車の走行データを活用し、一部の電池を計測器なしで解析できるようにすることで、定置用電池としての再販に向けたリードタイムを短縮する。解析技術の導入により、現状は年間3千台程度の受け入れ可能台数を5千台に引き上げる。今後は、車載電池の回収量が加速度的に増加するとともに、定置用蓄電池向けなどで使用済み電池の需要が拡大する見通し。使用済み電池を再利用する取り組みを推進し、電気自動車(EV)の残価を高めることで電動化を推進する。

 住友商事との共同出資会社で、使用済み電池のリユース事業を手がけるフォーアールエナジーに導入する。使用済み電池のリユースの作業工程は、まず一定時間をかけて温度を均一にした後、専用機器で各モジュールの性能を計測する。その後、3段階に性能を分類し、顧客の用途に応じてパックなどに組み直す。このうち計測工程には4時間程度の時間がかかり、出荷までのボトルネックになっていた。

 電池の性能を自動解析する技術は他社でも開発が進むが、日産の強みになるのが10年以上にわたるEV販売で蓄積してきた膨大な走行データだ。これまで蓄積してきた計測データと走行データをひも付けることで、計測器なしで高精度に性能を解析するプログラムを構築し、再販用電池の出荷拡大に向けた生産性を高める。

 新しい解析技術は、定置用蓄電池への適用を想定する。足元では系統用蓄電池などの「大型蓄電池の需要が拡大している」(フォーアールエナジー)としており、生産性向上で需要を取り込む考えだ。3月末には使用済み電池を使用した系統用蓄電池システムの外販を視野に、フォーアールエナジーの浪江事業所(福島県浪江町)に容量1600㌔㍗時の大型の蓄電システムを設置した。再販に向けた生産性を向上する一方で、大型蓄電システムの有用性を検証し、数年内に同システムを外販する。定置用以上に高い性能が求められる車載用途の電池は従来通りに専用機器で計測するという。

 車載電池のリユース事業は、EVの普及に大きく影響する。EVはバッテリーが劣化する影響で内燃機関車、ハイブリッド車(HV)よりも残価が低くなる傾向があるが、再販価値が上がれば結果的に新車購入時のユーザー負担も抑制できる。日産やフォーアールエナジーは、電池部材のリサイクルに向けた開発も進める一方、「まずは使えるものを使いきることが重要だ」(同)という。