ブリッド仕様のGRヤリス
最大約65mmのローポジションを実現した「LFタイプ」シートレール
GRヤリス純正シートを装着した「マルチキャスターPRO ヤリス/GRヤリス タイプ」
ヘッドレストレイント前方衝撃試験
座席ベルト取り付け装置試験
手作業でのシートレール製作

 シートとレールの一体開発で、最適なドライビングポジションを作り出し、プロドライバーから一般ユーザーまで圧倒的な支持を得ているドライビングシートメーカーのブリッド(高瀬嶺生社長、愛知県東海市)。今年2月にGRヤリス用のフルバケット専用シートレール「LFタイプ」(右席用)を発売し高い人気を誇っている。

 LFタイプは、レースでの使用を前提に開発された。同社の特許技術であるローマックス構造専用シートレールで、純正座面高から最大で約65mmダウンのローポジションを実現した。シート本体の凹部にシートレールが入り込み狭い座席スペースでも低着座化され、ハンドルセンターから左右へのオフセット0mmのシートポジションで、モータースポーツやスポーツ走行に最適なつくりとなっている。

 同社のシートレール開発はミリ単位で調整をし、シートとセットで最適なドライビングポジションを作り出している。汎用品ではなくピンポイントで高い技術を求めるユーザーのための開発が、ブリッドの強いこだわりだ。高瀬社長は「シートに対する意識と意義、そして使った時の感動が伝わる製品にこだわっている。実際にシートに座って装着し体感してほしい」と話す。

 LFタイプではローマックス対応のフルバケットシートのみ装着可能となっており、ドライバーの体格や背骨の形状に応じた製品がラインナップされている。シート全体で体を支えるので、力を分散し疲労を軽減することができる。さらにドライビングポジションが固定されることでアイポイントが定まり、安心してドライビングすることができる。

 そのほかにも、選択するシートレールによって、ストラディアシリーズやエディルブなどのリクライニングタイプのシートも装着することができる。ユーザーの使用用途に応じてサーキットからシティーユーズまで幅広い選択肢がある。

 さらに、同社のシートは7月から全製品が抗菌対応となり、車内環境の快適性に付与する仕様になっている。

 車両から取り外した純正シートは、「マルチキャスターPRO ヤリス/GRヤリス タイプ」に装着することで、室内用でも利用することができる。そのほかにも座椅子として使用できる「ザシッツ」や、静岡県焼津市の注文家具工房「木工のデン」と共同開発したロッキングチェアーベースの「エンペラー」など、ユーザーの用途に応じてシートを有効活用することができる。

 また、ブリッドでは、同社ホームページやユーチューブの「ブリッドチャンネル」を通し、情報発信に力を入れている。特に、メイド・イン・ジャパンにこだわったシート製作の現場や、ドライビングシート衝突試験など、同社製品が誇る、安心安全性を紹介している。

 ドライビングシート衝突試験の映像では、国内の保安基準適合試験紹介だけでなく、ドイツで行ったFIA規格の試験映像も公開されている。これは国内のみならず海外のレースでも使用される同社の安全への高いこだわりを改めて理解することができる。高瀬社長は「これまでなら企業秘密としていたところも、公開している。それは、ブリッドの譲れない安全性能を見てもらうことで、安心して使用してもらうきっかけになれば」と、創業40年を迎え、さらなる安心安全のために、深化とし続けていく。