国内一貫生産、3年保証のドライブレコーダーを販売するセルスター工業(神奈川県大和市)のドライブレコーダー機能付きデジタルインナーミラー「DM-10/CS-1000SM」が日刊自動車新聞用品大賞2021の安全サポート部門賞を受賞した。海外生産による同様の製品は数年前から市場に出始めているものの、国内製としては初の市場投入となる。安心安全な運転を支援する新たなジャンルの製品として業界内外からの注目を集めている。さらに、後方視界の確保、死角検知、あおり運転などで効果を発揮する後方キャッチ機能などを搭載し、安心安全を重視するドライバーなどから高い評価を得ている。同製品の開発のきっかけなどについて勝永直隆社長に話を聞いた。
安全運転支援を付加価値にする選択肢の一つに
-安全運転支援に新たなジャンルの製品を投入した
「当社としては新車ディーラー関係やカー用品量販店の方々からも日本製のデジタルインナーミラーへの強い要望はいただいていたこともあり、長年製品化を考えていた製品だった。ただ、品質を重視するものづくりを行っており、技術メンバーはプライドを持って開発にあたってくれているため、慎重になったのも事実。だからこそ、ようやく製品化できたことは非常に嬉しく思っている」
「ドライブレコーダーの装着率は40%を超えたともいわれており、とくに新車装着率は非常に高い。これは一般認知が高くなったことなどが背景にあると思われるが、安心安全にコストをかけることが当たり前になっているともいえるのではないか。個人的な意見にはなるが、装着率が50%を超えると、ドライブレコーダーを装着しないことはありえないというふうになるのでは。今後1、2年はこれまで以上のスピードで装着が進むことも想定している。今後はお客様の好みやクルマの乗り方、車種などに合わせてドライブレコーダーを選択するようになるかもしれない。その中で、デジタルインナーミラーは、死角検知などといった安全運転支援を付加価値として提供する選択肢の一つに加わっていくことを期待している」
新たなジャンルへの挑戦は継続
-技術的なハードルも多くあったのでは
「車種専用ではなく、市販製品として販売する以上、今あるミラーに挟み込む形で装着できなければならない。しかし、そのためには重量を軽くすることが求められる。安全性のためにもその点は非常に重要な問題だった。そのための部品選定や構造など、さまざまな問題をクリアしていくことに時間がかかった。加えて、当社は国内工場で一貫生産をしているため、海外製に比べるとコスト面では強く出にくい面もある。ただそれは、安心感を得られるとお取引先の方々には好意的にとらえていただている」
-今後について
「国内自社工場一貫生産を強みに、自動車メーカーやディーラーのオリジナル製品を作ろうという動きも出てきている。お取引先ごとの仕様に合わせた製品開発によって得られるノウハウも多くあるはず。新たなジャンルへの挑戦も引き続き行い、信頼性のあるものづくりを進めていく」
「一方で、創業から続けてきた充電器や電源関係、インバーターは当社の強みとしてさらに広げていきたい。電源関係は、アウトドアブームや災害時の備えとして重要さが再認識されている。来年の初めあたりには当社のさまざまな技術や製品を盛り込んだ新しい提案も準備している。そのためにはお店などと連携した取り組みも今後は一層増えていくだろう。カーエレクトロニクスの分野において当社ができることはまだあるはず。垣根を超えてさまざまなことに取り組んでいきたい。これらについて、ドライブレコーダーの提案と並行して注力していきたい」