車内は後席の取り外しや移動、 テーブル設置などが自由に  

 ソフトバンクや国内自動車メーカーが出資するMONET(モネ)テクノロジーズ(宮川潤一社長兼CEO、東京都千代田区)は27日、MaaS(サービスとしてのモビリティ)での活用を想定して車室内レイアウトを柔軟に変更できる「マルチタスク車両」を開発したと発表した。新型コロナウイルス感染拡大に対応して乗員のスペース確保と車内を強制換気するキットも同時に開発した。同日に企業や自治体を対象に受注を開始した。

 モネは車両とシステムを使って、移動や小売り、医療、観光などを組み合わせ、一つのサービスとして提供するMaaSの実用化を支援している。今回開発したマルチタスク車両はMaaSでの活用を想定した架装車両や改造キット「モネMaaSコンバージョン」の第1弾となる。

 トヨタ自動車の10人乗りの「ハイエース・グランドキャビン」がベース。車内に複数のレールを設置する専用フロア構造とすることで、工具を使わずに後席の取り外しや移動が可能で、テーブルの設置なども自由にできる。

 電源や照明、テーブル、モニターなどを装備しており、移動先での商談スペースやオフィスとしての利用や物販などでにも活用できる。車内のレイアウトを簡単に変更して、曜日や時間帯ごとに車両を使い分けることもできるとしている。

 価格は車両代金込みで902万円(消費税込み)からで、架装のみは462万円(同)から。納車は1月中旬以降となる予定。

 また、新型コロナに対応して、ハイエース・グランドキャビンの座席間に隔壁やカーテンなどを設置してパーソナルな空間を確保するとともに、独自開発の強制換気システムによって常に空気を入れ替えることができる「パーソナルベンチレーションキット」も開発した。

 地域のオンデマンドバスや通院・通勤シャトルバス、旅館の送迎車などでの架装を見込む。架装費用は78万千円(同)から。9月下旬以降の納車となる。