ロームは、第4世代のSiC(炭化ケイ素)MOSFET(金属―酸化物―半導体電界効果トランジスター)を開発したと発表した。従来品の短絡耐量時間(ショート時から破壊までの時間)を維持しながら、第3世代製品に比べオン抵抗を約40%低減した。車載用主機インバーター向けに拡販する方針で、すでに自動車メーカーや部品メーカー、モジュールメーカーなど30社以上から引き合いを受けている。6月からはベアチップでのサンプル提供を開始した。

 SiC MOSFETは、チップ上に1つの溝を形成するシングルトレンチ構造が主流だったが、溝に電界が集中することが課題となっていた。同社は、ソース部分にも2つ溝を設けるダブルトレンチ構造の第3世代製品を2015年に開発し、電界の集中を分散させて製品の信頼性を高めた。今回の開発品は、第3世代製品を改良した。オン抵抗と短絡耐量時間の両立に加え、電子部品内部の寄生の静電容量を削減し、従来品比でスイッチング損失を約50%削減した。

 これまではオンボードチャージャーやDC/DCコンバーターなどに採用されていた。第4世代製品の投入により、駆動のメインとなる主機インバーターでの採用を狙い、電動車両領域での存在感を高めていく。