ボルボ・カーズは、自動運転技術の実現に向けてレーザースキャナーのLiDAR(ライダー)を2022年から次世代型モデルに搭載すると発表した。次世代プラットフォーム採用車のルーフと一体化させ、高速道路上での完全自動運転技術を提供する。将来的には標準搭載も視野に入れているという。ライダーはアウディが量産車として初めて高級セダン「A8」に搭載している。

 ボルボが搭載を決めたのは米ルミナー社製のライダー。22年から生産を開始する次世代プラットフォームのモジュールアーキテクチャー「SPA2」に採用する予定で、自動運転に対応するハードウェアとして提供する。

 SPA2をベースにした車両では、無線ネットワーク通信でソフトウェアをアップデートするOTA(無線通信によるアップデート)によって、まずは高速道路での完全自動運転が可能になるという。

 同社の最高技術責任者であるヘンリック・グリーン氏は「無線ネットワーク通信のアップデートで車が自ら運転できる領域が拡大していく」と述べており、自動運転技術の提供範囲を順次広げていく考えだ。

 ルミナー社製ライダーは数百万パルスのレーザー光を照射し、車両前方の環境を3Dスキャンすることで物体の位置を正確に検出する。インターネットに接続することなく一時的にリアルタイムの地図を作り出すことができる。

 量産車に世界で初めてライダーを搭載し、自動運転技術のレベル3を実現したアウディA8は日本市場にも投入されている。ただ当初は法制度が未整備で機能はレベル2に抑えられていた。現在、国内では今年4月に改正道路交通法が施行され、高速道路など一定の条件下で自動運転できる「レベル3」の公道走行が可能になっている。