ヤマハ発動機が開発した四輪車のコンセプトモデル

 ヤマハ発動機の日高祥博社長は12月11日、新中期経営計画の発表記者会見で、四輪車事業への参入を断念したと発表した。日高社長は「(四輪車事業は)投資が多くて回収が難しい」と述べ、四輪車の開発を終了したことを明らかにした。欧州に置いていた四輪車開発チームは解散し、チームのメンバーは帰国したという。

 同社では、2019年以降、四輪車事業に参入するため、欧州に小型電気自動車(EV)の開発拠点を置いて研究・開発を進めてきた。2018年までの現在の中期経営計画期間中に最終的な事業参入を判断することにしていた。

 開発していた小型のEVは、パイプを接続する構造を採用する予定で、これを実現するための量産設備に多大なコストが必要で、採算を確保できないと判断、開発を「凍結」した。 消費者のニーズが「保有」から「利用」にシフトし、カーシェアが台頭する中、「ヤマハらしいこだわりの四輪車」を開発しても、販売ボリュームを確保できないことも四輪車事業への参入断念につながった模様だ。

 同社では、四輪車開発で培った技術は、ゴルフカーやROV(レクリエーショナル・オフ・ハイウェイ・ビークル)、三輪バイクのLMWの四輪モデルの開発などに応用していく。また、トヨタ自動車やマツダなどの電気自動車のコモンアーキテクチャーを共同開発する「EV C.A. Spirit」への参加は継続する。