9月から生産を再開するヤリスクロス

 トヨタ自動車は、国内向けの新車供給台数を9月から増やす。トヨタの国内販売は認証不正問題などの減産影響で1~6月が前年比で2桁減となっており、2024年販売計画の150万台に対して大きく後れをとっている。9月以降は「年間170万台ペースの配車水準」(トヨタ関係者)とし、挽回を目指す。

 10月の配車水準はとくに高く、前年同月を15%上回る15万台超とする計画だ。このため、新車ヤードの確保や納車前点検体制の強化など、円滑な納車準備を系列販売会社に要請した。また、供給増によって受注残が減るため、新規受注の獲得に向けた取り組みの強化も促していく。

 トヨタの1~6月国内新車販売は68万2296台と前年同期に比べ2割以上、落ち込んだ。認証不正や品質問題などの影響で断続的に車両生産が停止したためだ。子会社のダイハツ工業は23年12月に発覚した認証不正を契機に国内全車種の生産を停止。この中にはトヨタへのOEM(相手先ブランドによる生産)車で、販売台数が多い「ライズ」「ルーミー」も含まれる。

 また、24年1月には豊田自動織機で「ランドクルーザー」や「ハイエース」に搭載するディーゼルエンジンで認証不正が発覚。当該車種を同一ラインで生産する「アルファード」などにも稼働停止の影響が広がった。4月には「生産工程の確認」を理由に「ノア/ヴォクシー」の生産を一時停止。6月3日には認証不正を公表し、「ヤリスクロス」と「カローラフィールダー」「同アクシオ」の生産を停止した。

 トヨタは昨年末、系列販社に24年の新車販売見通しを23年実績並みの160万台と伝えていたが、生産停止が相次いだことを踏まえて150万台に下方修正した。ただ、150万台でも1~6月の販売実績の進ちょく率は9割程度にとどまる。ヤリスクロスなどの生産を再開する9月以降、国内向けの出荷台数を増やすことで挽回を図る。