旭化成は、完全子会社の旭コミュニケーション(髙山陽介代表取締役、東京都千代田区)にリチウムイオン電池(LIB)用セパレーター事業を承継させる吸収分割契約を締結したと発表した。このほど開催した取締役会で決定した。事業承継は10月1日に完了する予定。旭化成は、今回の吸収分割による連結業績への影響は軽微としている。

 旭化成は、LIB用セパレーター「ハイポア」の事業を子会社へ承継させる。ハイポアは主に電気自動車(EV)向けの湿式セパレーターで急速な需要拡大が見込まれており、直近では約400億円を日米韓の各拠点に投資してハイポアの塗工製造能力を拡充するなど生産体制強化を進めている。2023年3月期の同事業の売上高は336億300万円だった。

 同社は今回の吸収分割による承継について「さらなる成長戦略を進めるため、経営の意思決定の迅速化、組織の自立性・独立性の向上が目的」としている。

 旭コミュニケーションは、ハイポア事業の承継により同事業の専業子会社となる。また、社名も「旭化成バッテリーセパレータ」へ変更する予定。今年1月に設立した旭コミュニケーションは、化学製品の製造、加工、販売に関連する調査や企画、コンサルティング事業を手がけている。