個人間カーシェアリングサービス「エニカ」を手掛けるDeNA SOMPOモビリティ(DSM、馬場光社長、東京都渋谷区)は、「エニカカーシェア・オブ・ザ・イヤー2023」を発表した。

 1月から11月15日までの平均利用回数から算出したもので、個人間部門ではアウディ「A5カブリオレ」が29回でトップだった。ランキングでは上位10車種中7車種を占めた輸入車の人気が目立つ。ただ、マツダ「アクセラスポーツ」が2位に食い込んだほか、Z世代(18~24歳)部門でホンダ「シビック」が1位となるなど、国産車にも根強いニーズがあることも分かった。

 個人間部門では3位のBMW「Z4」や5位のメルセデス・ベンツ「Gクラス」など、輸入車の中でもスポーツカーや上級SUVを選ぶ利用者が多かった。24時間利用での平均料金はA5カブリオレが8261円、Z4が8044円(消費税込み)などとなっており、比較的安価で気軽に輸入車を利用できることも支持を集めた一因のようだ。

 DSMの馬場社長も「保有はできないけれど、興味のある車をシェアするケースが多い」と分析している。さらに、「個人間カーシェアで仮想的なカーライフを楽しんでいる利用者が多い」としており、24年もこうしたモデルの人気が続きそうだ。

 Z世代に限ると、さらにスポーツカーの志向が高まる。2位のZ4のほか、国産車でも6位にトヨタ「86」、8位にスバル「WRX STI」が入った。1位のシビックでは、手動変速機(MT)車の人気が高いという。DSMは「若年層はカーシェアを実用性や効率性ではなく、車の憧れで選んでいる」と指摘している。実際、個人間部門とZ世代部門の上位10車種の平均料金を比べると、若年層の方が高かったという。カーシェアは気軽さや費用対効果の高さが注目されがちだが、若い世代では移動中も快適に過ごしたり、目立ったりできる〝時間対効果〟を重視するユーザーが増えている可能性がある。

 一方、DSMでは新車の販売会社の試乗車を用いる「ディーラーカーシェア」のサービスも提供している。この中ではアウディ「Q8」の利用回数が最も多く、これにBYD「アット3」、プジョー「208」が続いた。

 エニカの会員は現在、約84万人。取り扱っているモデルは1300車種以上になっているという。