中古車販売大手のネクステージは、社内で確認できた不適切な事案について6日までに公表した。自動車保険の契約を捏造(ねつぞう)した従業員が8人居たほか、禁じられている保険加入を条件にした車の値引き提案が1件、タイヤ保証に関する案件が2件あった。週刊文春から取材を受けたため、質問内容とともに回答を同社のホームページ上で開示した。同社は8月24日、車検や車体整備の保険金請求に関する社内調査で「不正は確認されなかった」と公表していた。

 同社の発表では2020年10月に、ある店舗のスタッフが車の販売時の下取り車両を使って友人名義で保険契約を捏造した。同社では保険契約のノルマはないというが、同じ店舗で、ほかに3人のスタッフが類似行為をしていた。さらに同時期、他店などで4人の類似案件が確認された。

 同年9月には、保険への加入を条件に、顧客に対し車の値引きを提案していたケースがあった。保険の募集人が保険契約者に対して特別の利益の提供を約束したり、提供したりすることは保険業法で禁じられている。この社員は自主退職したという。

 また、「当店で車を買うとタイヤがパンクした時に無料で新品に換えられる。タイヤが古くなればパンクさせれば無料で新品に交換できる」という主旨のセールストークをした社員が居たことを18年10月に把握し、厳重注意したという。ボルトでパンクしたと思わせるような写真を撮影して申請したケースもあった。この社員は降格になった。

 同社によると、いずれも関係する保険会社や企業には報告済で、必要な処分や研修も行ったとしている。

 週刊文春からは9月1日午前に質問を受け取り、同日回答したという。

 ビッグモーター(和泉伸二社長、東京都港区)の自動車保険金の不正請求を受けて、ネクステージは自主調査を実施。8月下旬に不正はなかったと公表していた。この点について、同社は「前回の調査は車検や車体整備の保険金請求に関する調査で、今回の件とは別のものという認識だった」という主旨の回答をしている。

 同社は東証プライム・名証プレミアの両市場に上場している。22年11月期決算の売上高は約4200億円。浜脇浩次社長はビッグモーター出身だ。