BMW「X5iハイドロジェン」とユルゲン・グルドナー本部長(右)

 ビー・エム・ダブリューは25日、燃料電池車(FCV)「X5iハイドロジェン」の実証実験を国内で始めると発表した。12月末まで3台を走らせ、性能や市場ニーズなどを確かめる。実証結果は本国に送り、今後の車両開発に生かす。BMWグループ水素燃料電池テクノロジー・プロジェクトのユルゲン・グルドナー本部長は電気自動車(EV)と合わせ「ゼロエミッション車両を補完していきたい」と語った。

 燃料電池(FC)システムの出力は125キロワット(約170馬力)、水素タンク容量は約6キログラムで、航続距離は約500キロメートル。時速100キロメートルまでの加速性能は6秒。同プロジェクトのロバート・ハラスマネージャーは「(水素は)充填に3~4分しかかからない。さらにBMWの特徴である走行性能も発揮する」と説明した。

 FCシステムは車両前部に搭載し、後部座席側に水素タンクを配置した。協業先であるトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「ミライ」と同じFCセル(単電池)を搭載。FCスタックや駆動システムはBMWの独自開発だ。

 BMWは、2011年からトヨタとFCVの共同基礎研究に取り組んでいる。グルドナー本部長は「水素技術は日々、進化している。この分野に強いトヨタとパートナーを組めていることは非常に光栄だ」とも語った。メディアや行政など向けの試乗機会を設けたり、NPO(非営利組織)による水素関連イベントなどにも車両を提供し、社会的受容性の醸成にもつなげる。

 BMWグループは今後、日本と同じような実証を世界各地で実施していく考えだ。