損害保険大手4社による東急グループ向け火災保険料についてのカルテル(不法な取引制限)行為の疑いが発覚した件で、東京海上日動火災保険は20日、同社社員が主導して(カルテル行為に相当する)「保険料の調整行為」を行ったと発表した。今後、公正取引委員会にも報告する。社内で調査中だが、現時点ではほかに同じような事案は見つかっていないという。

 東京海上日動以外の損保3社は、損保ジャパン、三井住友海上火災、あいおいニッセイ同和損害保険。

 東京海上日動や東急などによると、東急向け火災保険の4社共同保険契約の入札で、4社が同じような水準の保険料を提示したことに東急が疑問を持った。2022年12月、東急から東京海上日動に不適切な行為がないか確認をした。東京海上日動が弁護士を起用して関係者の携帯やメールなどを調べた結果、カルテル行為が確認された。このため同社は23年3月に金融庁に報告し、5月中旬に同庁から報告徴求命令を受けた。その後、ほかの損保3社も金融庁から同様の命令を受けた。

 東京海上日動などによると、東急から問い合わせがあって発覚したことから、カルテルによる不当な保険料での契約には至らなかったという。最終的にこの損保大手4社と契約したかどうかについて、東急は明らかにしていない。

 東京海上日動が不祥事の詳細を自ら開示したことについて損保業界に衝撃が広がっている。「異例なケース。最大手がやったということは、ほかの3社も(ほかの事案の社内調査などとその公表を)やらなくてはならなくなるかもしれない」との声も出ている。

 カルテルは、事業者などが相互に連絡を取り合い、本来各事業者が自主的に決めるべき商品の価格などを共同で取り決める行為。独占禁止法3条(不当な取引制限)で禁じられている。