ブリヂストンの石橋代表執行役グローバルCEO

 ブリヂストンが事業構造改革に挑む。今後3年間でタイヤや部材などを製造する世界165工場のうち、収益力の低い拠点を中心に4割を削減し、投資もデータを生かしたソリューションサービスや付加価値の高いプレミアムタイヤに集中するなど、収益性重視を鮮明にする。同社はここ数年、利益率が低迷しており、2020年12月期連結業績は69年ぶりに最終赤字に転落した。石橋秀一代表執行役グローバルCEOは「数ではなく、質を追う」と明言し、長年、ミシュランと争ってきたタイヤ業界トップの座にこだわらない姿勢を示す。中国などの新興タイヤメーカーが低価格タイヤを武器に存在感を増す中、シェア争いから退く戦略で、痛みを伴う改革をやり切れるかが生き残りを左右する。(村田 浩子)

 「稼ぐ力を再構築する」。石橋CEOが昨年のトップ就任以来、繰り返してきた言葉だ。新興メーカーとの価格競争や一部工場での稼働率低下によって利益率が落ち込んでいた。2015年に13・6%あった営業利益率は20年には7・4%まで低下。「事業によっては大赤字のものもある」(石橋CEO)状況だ。

 この状況を打破するため、中期事業計画を完了する23年までに、世界で165ある生産拠点の4割を減らす大胆なリストラを断行する。すでにフランスと南アフリカの工場閉鎖を決めた。閉鎖する拠点は現段階では明確に示さなかったものの、注力製品として掲げる高インチタイヤが生産できない工場や将来的な需要減が見込まれるバイアスタイヤの工場、採算性が悪化している欧州の拠点などが閉鎖対象になると見られる。

 設備投資が中心だった投資のあり方も見直す。中計内で7千億円の戦略投資を計画するが、その半分以上をソリューション事業やデジタル人材確保など新領域に充てる。特に、ソリューションサービスはサブスクリプションと組み合わせることで、販売後も利益を生み出し続けるメンテナンス商品として打ち出す。すでに運行管理サービス「ウェブフリート」の利益率は25%に達しており、先行する欧州以外に米国やオーストラリアなどでも導入する計画だ。

 拠点網の最適化、投資の選択と集中を進め、23年には営業利益率を13%台まで戻す。

 グローバル展開している生産ネットワークを捨てることにもなる。計画通り実行した場合、同社の生産拠点数は100以下になる。タイヤ工場だけで見れば、約70拠点を持つ競合のミシュランに、拠点数で下回る可能性もある。石橋CEOは「数ではなく、質を追う」と、これまでのように販売本数やシェアを優先しない姿勢を示した。近年、低価格タイヤでシェアを高めている中韓メーカーとも「競争はしない」(同)方針。利益率が高い高インチタイヤや電気自動車向けのタイヤなど、「プレミアム商品」に主戦場を絞る。

 ミシュランとともに、タイヤ業界世界トップの座にあったブリヂストン。生産拠点の大幅削減や製品群の縮小などで、その地位を捨てて生き残りを図る。