国土交通省は、自動運転システムなど先進技術に対応する新たな検査手法の導入を正式決定した。道路運送車両の保安基準の細目を定める公示などの一部を改正する告示を5日公布。車載式故障診断装置(OBD)を用いて、電子制御装置(ECU)などの電子的なチェックが可能になる。

 OBD検査の対象は2021年10月以降の新型車で、24年10月から検査をスタートする。輸入車はそれぞれ1年適用を遅らせる。車載技術の高度化がさらに加速すると見込まれる中、車両検査の仕組みも大きく進化させることにより、将来にわたって安全性を担保していく考えだ。

 自動車産業が100年に1度の変革期といわれる中、クルマづくりもCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に対応する技術を用いる方向へ大きくシフトしている。緊急自動ブレーキや車線維持など先進システムの進化や普及もスピードアップをしているが、これに比例して電子制御の領域でも拡大するとともに複雑化している。こうしたシステムは正しく働かなければ安全性を損なう恐れもあり、国交省ではこれらの機能確認や故障を検知できる検査制度の導入が必要と判断。これまで、有識者らを交えて検討を進めてきた。

 新たな検査手法では車両のOBDに診断機を接続し、緊急自動ブレーキなどの運転支援装置や自動運行装置のほか、排ガス関係装置の故障コードを読み取っていく。いち早く、システムの異常を検知して修理できるようになることで、さらに安全な交通社会の実現に貢献していく狙い。

 国交省では21年10月から電子的な検査のプレテストも開始する計画で、新たな検査手法の確実な実行にも取り組んでいく考えだ。