連載「銀幕の名車たち」スイート・マイホーム × トヨタ「ライズ」 物語の進行に不可欠となったマイカー

  • クルマ文化・モータースポーツ
  • 2026年10月10日 05:00

日本におけるスマートハウス、スマートホームの普及率は、欧米に比べて低いとされる。だが、スマートホームデバイスの共通規格の普及により、家電製品や映像機器など制御の幅は広がり、スマートホームの普及率は急速に上昇しつつある。こうした機能を備えた最先端の住宅に、何かが潜んでいたらどうなるのか。そのマイホームを手にした一家の恐怖体験を描いたのが、この映画「スイート・マイホーム」だ。その物語の中で、場面の転換や進行にトヨタ「ライズ」が活用された。マイホームを手に入れようと動き出した親子3人の若い家族が住宅展示場へと出掛けるシーン、妻が夫の母親を助手席に乗せて運転していく中で息子と結婚してくれたことへの感謝の言葉を義母が発するシーン、夫が誰にも悟られないようにと一人で人気のない場所まで運転して不倫相手とスマートフォンで話をするシーンなど、主人公のマイカーであるライズは、物語に不可欠な道具や場所として活用された。

【ストーリー】

長野県に住むスポーツインストラクターの清沢賢二(窪田正孝)は、厳しい寒さを苦手としていた。彼は、妻・ひとみ(蓮佛美沙子)と幼い娘・サチ(磯村アメリ)たちのためにも、暖かな部屋があるマイホームの購入を決意し、一家で住宅展示場を訪れた。そこで“まほうの家”がうたい文句のモデルハウスと出会う。その住宅は、地下室の大きな暖房設備が家全体を温め、さらに各部屋の状況もタブレット端末から映像で確認できるという理想的な最先端の住宅だった。

その住宅の購入を決め、住宅会社の社員・本田(奈緒)が彼らの住宅の設計を担当することになる。新居での生活をスタートさせた清沢一家は、2人目の娘も誕生して幸せな日々のようだった。だが、住宅の営業で本田に負けた住宅会社の社員・甘利浩一(松角洋平)が死体で発見され、賢二と不倫関係にあるスポーツジムの同僚・原友梨恵(里々佳)には不倫の証拠となる映像がメールで送られてきた。家の中では、サチが地下室で何かに捕まり、ひとみは赤ん坊の瞳に映った何かの影に恐怖を覚えるなど、賢二の周りで奇妙な出来事が相次いで起きていた。

同県内の実家で賢二の母・清沢美子(根岸季衣)と暮らす賢二の兄・聡(窪塚洋介)はひきこもりでありながらも、弟一家の危機に気付き弟の家へと向かった。その「家」に潜む何かが明らかになり始めていく。

【解説】

映画「スイート・マイホーム」は、2018年の第13回小説現代長編新人賞を受賞した神津凛子の長編小説「スイート・マイホーム」を映画化した作品。神津は住宅の購入をきっかけに、同小説を書き始めたとされる。小説発売時には「オゾミス」(おぞましいミステリー)の作品としてPRされ、映画化に際しては、小説で描かれたていた雰囲気や恐怖を再現するとともに、登場人物の心理描写に力を入れて製作した。

監督は、齊藤工の名前で映画の監督やプロデュースを手掛けている俳優の斎藤工が務めた。主演の窪田正孝は、20年のNHK連続テレビ小説「エール」で主役を務めて21年のエランドール賞新人賞を受賞し、22年の映画「ある男」で第46回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を手にするなど、テレビや映画で活躍。その後、病気療養のため休んでいたが、スイート・マイホームが復帰作となった。

映画の舞台は長野県の設定となっているが、撮影は東京都調布市の下石原市営住宅や仙台市で取り壊す予定だった住宅会社のモデルルームなどで行われた。

【車】

トヨタ「ライズ」(2019年発売)

ライズは、トヨタ自動車が19年11月に新型車として発売した5ナンバーサイズのコンパクトSUV。ダイハツ「ロッキー」の兄弟車で、ダイハツ工業が生産し、トヨタにOEM(相手先ブランドによる生産)供給している。16年3月に販売終了したコンパクトSUVのトヨタ「ラッシュ」/ダイハツ「ビーゴ」の後継車種と位置付けられる。

ライズ/ロッキーの全長・全幅はラッシュ/ビーゴと同程度。全高は低くしたものの、コンパクトSUVクラストップレベルの369リットルの荷室を備える。外観は、大径タイヤと張り出したフェンダーにより、SUVとしての力強さと踏ん張り感を表現。新開発の軽量高剛性ボディーやサスペンションにより、優れた操縦安定性と快適な乗り心地を実現した。排気量1.0リットル直列3気筒インタークーラー付ターボガソリンエンジンとCVTの組み合わせで、排気量1.5リットル相当のトルクによるパワフルかつスムーズな走りと低燃費を両立した。発売後1カ月間で月販目標4100台の8倍となる3万2000台を受注し、好発進となった。

21年11月にマイナーチェンジを行い、排気量1.2リットル直列3気筒ガソリンエンジン搭載車と、同エンジンで発電してモータ―で駆動するシリーズハイブリッド方式のハイブリッド車(HV)を追加。1.0リットルターボ車は四輪駆動、1.2リットル車(ガソリン車とハイブリッド車)は前輪駆動の設定とした。

グレード構成は、エントリーグレード「X」、標準グレード「G」、上級グレード「Z」の3種類(HVはGとZ)を基本とする。

劇中車は、19年に発売した前期型の「Z」グレード。ボディーカラーはイメージカラーの「レーザーブルークリスタルシャイン」が用いられた。

【作品データ】

作品名:スイート・マイホーム

製作年:2023年

製作国:日本

上映時間:113分

配給:日活、東京テアトル

ジャンル:ホラー、ミステリー

【スタッフ&キャスト】

監督:齊藤工(俳優名=斎藤工)

原作:神津凛子「スイート・マイホーム」(講談社)

脚本:倉持裕

主題歌:yama「返光(Movie Edition)」(ソニー・ミュージックレーベルズ)

音楽:南方裕里衣:

出演:窪田正孝、蓮佛美沙子、奈緒、中島歩、里々佳、松角洋平、根岸季衣、窪塚洋介、吉田健悟、磯村アメリ、岩谷健司

(遠藤 幸宏)

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