ディーラーの下請法違反、厳しい「買いたたき」も 過去の商習慣は通用せず

 自動車ディーラーと車体整備事業者の間で、商習慣に基づき、十分な協議が行われないまま取引が行われている実態が明らかになった。下請代金支払遅延等防止法(下請法)に違反、または違反の恐れがある事例だ。中小企業庁が全国に配置した「下請けGメン」による聞き取りでも厳しい報告が寄せられている。自動車・車体メーカーを含む自動車業界では、金型の無償保管などの下請法違反の事例が増えている。公正取引委員会と中企庁は引き続き、違反行為に対し厳正に対応する方針だ。

 物価高や人手不足を背景に社会全体で賃上げや取引適正化の機運が高まる中、公取委と中企庁は特定業種・業界で下請法違反が疑われる行為について調査し、迅速に指導する取り組みを進めている。

 ディーラーが損害保険会社との修理代金の交渉を車体整備事業者に任せた後、整備事業者が損保会社と協議してレーバーレート(1時間当たりの工賃単価)を引き下げるなど代金を変更したにもかかわらず、ディーラーが整備事業者と協議せずに、修理代金から自社分の利益を差し引くなどの「買いたたき」の事例も複数あった。

 また、整備業者から取引価格の見直しの協議の要請があった場合は応じているものの、要請がない場合は、価格をそのまま据え置いていた例も。これも「買いたたき」だ。

 下請けGメンによる聞き取りでも「売り上げの一部を(ディーラーの都合で)納入翌月の請求にさせられることがあった」「レーバーレートの値上げ交渉をしたが『新車販売が厳しいので待ってほしい』と言われ、そのままとなっている」などの声が整備事業者から寄せられた。書面での合意もなく、金融機関の振込手数料を代金の中から差し引かれたり、ユーザーの理由でキャンセルされたからと、それまでかかった費用が払われなかったりするケースもあった。

 26年1月1日付で、下請法にかわって「中小受託取引適正化法(取適法)」が施行される。「協議に応じない一方的な代金決定」が禁止行為に加わるなど厳格化される。また、対象となる企業もより幅広くなる。「これまで大丈夫だったから」で済まさず、業界全体で商慣行を総点検する時期に差し掛かっていると言えそうだ。

関連記事