商品力とともに現場の提案力が拡販のカギに(写真はN-VANe:)

 ホンダは、電力プランの加入や普通充電器の設置工事といった電気自動車(EV)関連のサービスを系列ディーラーで包括的に提供できるようにする。ENEOS(エネオス)やビックカメラなどのサービスをディーラーが窓口となって顧客に一括提案していく。ホンダとしてはEV関連のサービスを順次拡充し、系列ディーラーの新たな収益源に育てていく狙いもある。

 軽商用EV「N―VANe:(エヌバンイー)」の発売に合わせて普通充電器の設置や電力プランを販売会社が提案できるようにする。ホンダは、オンラインでメーカーが直販する「ホンダオン」でエネオスの実質的な再生可能エネルギー100%電力特約をセットで契約できるようにしているが、こうした取り組みを希望するディーラーに広げていくとみられる。

 ホンダ系列のディーラーは、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)の販売実績を持つ。ただ、これまでは販売台数が少なかったこともあり、メーカー側は積極的に関連サービスの提案を販売会社に求めていなかった。今後は、エヌバンのEVを皮切りとして26年までに計4車種のEVを国内に投入する計画で、系列ディーラーで充電器や電力プランを提案できるように体制を整える。

 こうしたサービスは、EV購入時の利便性や顧客満足度を高めるともに、将来のディーラーの収益源としても期待される。交換する部品や油脂類が少ないEVの普及による整備収益の低下が見込まれる中、EVを軸に新たな収益を得られるようメーカーとして支援する。ホンダとしては、エネルギーマネジメントや車載電池の再利用などでもディーラーとの協力関係を深め、系列販売網の新たな収益モデルにしたい考えだ。

 充電設備や電力プランの提案はホンダ以外の系列でもすでに取り組んでいる。2010年に「リーフ」を発売した日産自動車がノウハウで先行するほか、三菱自動車は19日に充電器やV2H(ビークル・トゥ・ホーム)機器をセットで販売するリースプランの提供を開始した。

 EV販売は、商品特性や充電料金、政府や自治体からの補助金など説明項目が多いだけに、商品力とともに現場の〝提案力〟が拡販のカギとなりそうだ。