高速回転に対応する軸受が電動車の航続距離や快適性を向上させる(写真は日本精工の開発品)

 軸受メーカーが、電動車向け駆動モーターの高速回転化への対応を加速させている。電動車は、航続距離を伸ばすためにさまざまな部品で小型・軽量化が求められる。モーターの出力は、回転数とローター径を掛け合わせたものに等しく、回転数を高めることで出力を保ったままサイズを小さくできる。現状は毎分1万5千回転が主流だが、2025年頃には同3万回転以上へ高速回転化が進む見通し。燃費や電費の改善につながる技術として、モーターの高速回転化に対応した軸受開発が活発化している。

 日本精工やジェイテクトが高速回転に対応するグリース潤滑玉軸受を相次いで開発した。高速回転では遠心力で保持器が外側に変形し、焼き付きや外輪などと接触して破損するのが課題だった。両社は、保持器の形状などを見直すことで高速回転に対応できるようにした。また、オイルポンプが必要な油潤滑とは異なり、グリース潤滑を採用することで駆動装置の小型軽量化も見据えている。

 日本精工は、毎分3万回転の駆動モーターに対応する軸受を開発した。回転性能を示すdmn(ピッチ円直径×回転速度)は140万以上となる。樹脂製保持器の材料を変更し剛性を高めたほか、先端を薄く、根元を厚めにすることで遠心力の影響を低減させた。高回転化への対応で許容回転数が毎分1万1千回転の軸受に比べて、モーターの体積で約45%の小型化につなげる。さらに160万dmn以上の軸受の開発にも着手しており、駆動モーターのさらなる高速回転化に対応する考え。同製品で30年に売上高100億円を目指す。

 ジェイテクトは、150万dmn以上の高速回転に対応する軸受を開発した。冠型だった樹脂製保持器の形状を大幅に見直すとともに独自開発したグリースの採用で高速回転に対応できるようにした。保持器はボールポケット形状の工夫と軽量化で遠心力による影響を軽減。グリースを保持する設計も採り入れ、潤滑性も向上させている。25年に量産を開始し、年間3億円の売上高を目指すとしている。