AI(人工知能)カメラなどの機器を活用し、来場者の動きや人の流れをデータとして可視化する。そんな活動が、群馬県富岡市の群馬サファリパークで始まった。車載アンテナなどを手掛けるヨコオをはじめとした企業が中心。県の支援制度「ぐんま未来共創トライアル」に採択された実証事業を通じ、観光施設を舞台に”街の生産性改革”に挑む。
実証事業のテーマは、「データと自動化技術で、街をもっと効率よく、魅力的にすること」。2025年12月から26年2月末までの期間を予定している。
サファリパークでは、入退場ゲートやチケット売り場、売店、レストランなど計7カ所にAIカメラを設置。来場者数や園内での回遊ルート、滞在時間などを把握できるほか、車のナンバー情報から来場地域の傾向も分析できる。これらのデータを混雑対策や人員配置の見直し、売店での商品展開など、さまざまな改善に生かす。将来予測の精度向上などを通じ、従業員の工数削減や運営効率化のほか、来場者体験の向上にも寄与する。
県内で初導入となる「ETCX」もある。高速道路のETC技術を活用し、入場料金をキャッシュレスで支払える仕組み。現金の受け渡しが不要になることで、入場ゲートの渋滞緩和やスムーズな入園が期待される。
実証事業は大きく3つの効果が期待される。
1つ目は、自治体や施設運営者が、経験や勘だけでなくデータを根拠に計画や改善を進められるようにすること。
2つ目は、製造業で培ってきた「効率化」や「見える化」のノウハウを、街づくりや観光運営に応用すること。
3つ目は、サファリパークと富岡製糸場という2拠点を起点に、取り組みを街全体へと広げていくこと。
ヨコオはこのプロジェクトで、全体のプロジェクトマネジメントとデータ活用のシナリオ設計を担当。すでに富岡製糸場では先行して同様の実証が進んでおり、AIによる来場者数予測と実績値を比較・補正することで、将来予測の精度向上にも取り組んでいる。観光施設で得られたデータを、地域全体の活性化へつなげていく仕組みだ。
連携企業からも、「交通DX(デジタルトランスフォーメーション)やMaaS(サービスとしてのモビリティ)の知見を地域に生かしたい」(Zenmov)、「取得したデータを地域全体の活性化につなげたい」(群馬サファリ・ワールド)、「現場実装力で全国展開を支援する」(ミライト・ワン)といった抱負が示されている。
ヨコオは「創業以来、技術を通じて社会や地域にどう貢献できるかを大切にしてきた。「サファリや富岡製糸場でのデータ活用を通じて、感覚ではなく“根拠に基づくデータ”で地域の課題解決に取り組みたい」と展望する。



















