中高生の交通死傷事故の8割は、自転車の乗車中に起きている。年末年始など自動車での移動が増える時期には、より一層の注意が必要になる。国土交通省は、自転車事故の削減に向けた新たな安全対策を先行対策地域で順次、展開していく。来年度以降は同様の取り組みを全国に広げていく方針だ。
中高生の自転車事故のうち、約6割は通学中に発生している。最も多いのは自動車との事故で、全体の8割を占める。事故の種類としては「出合い頭」(6割)と「左折時」(約2割)が大半を占める。
この状況を踏まえ、国交省は全国の先行対策地域で実証を行い、3点の交通安全対策を実施する。
1つ目は「地域課題の把握・分析」だ。人流データなどを活用したAI分析により、潜在的な事故発生リスク箇所を把握し、自動車と自転車双方に路面表示などによる注意喚起を行う。また、スマートフォンアプリで走行データを取得し、事故発生件数の多い危険地域の把握も行う。
2つ目は「対策の実施」。出合い頭事故が発生しやすい、見通しの悪い無信号交差点などに車両接近感知センサーと電光掲示を設置。自転車運転者が危険エリアに近づいた際、スマホアプリで注意喚起する。
3つ目は「対策の検証・改善」。先行対策地域にAIカメラを設置し、その映像から自動車や自転車の対策前後の挙動を分析し、効果を確認する。
国交省は実証の結果を踏まえ、全国に同様の事例を展開していく方針だ。
ただ、事故を減らす最も効果的な取り組みは運転者の意識改善であり、中高生への安全運転の徹底も併せて必要になる。この年末年始は、普段の運転の仕方を振り返ってみるのも良いかもしれない。


















