車検のOBD(車載式故障診断装置)検査は、2024年10月の本格運用からまもなく2年。対象車両は約690万台(26年5月末時点)、検査実績は累計約120万台(同年6月末時点)まで増えた。プレ運用期間(23年10月~24年9月)から準備を進めたことで、すでに業務を軌道に乗せた事業者もある。
整備事業者にOBD検査の対象車が車検入庫するのはごく一部だが、増える兆候が出ている。カマド(小林雅彦社長、静岡県御殿場市)では25年の車検入庫台数のうち、対象車が約1%だった。しかし、「以前は月に1、2台だった対象車の車検が最近は月に5、6台はコンスタントに入ってくる」(鈴木忠康工場長)ようになった。車検以外では一般整備が全体の5.5%、板金塗装(BP)でも4.7%になっている。新車販売ではすでに半数超が対象車になっており、今後、整備入庫が増えていくのは確実だ。
OBD車検の受け入れ時に大事なのが、対象車であるかどうかの確認だ。検査漏れとなれば行政処分につながる。そこで、ツカサ工業(佐藤憲司社長、長野県大町市)は、プレ運用時から対策を進めてきた。
同社ではまず、整備用スキャンツール(外部故障診断機)を使って入庫車をチェックする。診断結果で気になる箇所があると、検査用スキャンツールでOBD確認を行う。仮に、不適合に該当する事例が見つかった場合、車検から一般整備の入庫に切り替えて対応するようにしている。車検の受検時にOBD検査が不適合となった場合、その修理と再検査で納車が遅れるからだ。
また、車検業務については、異なる班の最低3人のスタッフがチェックし合うことで、検査漏れを防ぐようにしている。対象車であることを知らせる整備業向けの支援システムも活用しているという。
福井自動車(本多貴明社長、東京都千代田区)では車検で入庫したすべての車両に、OBD確認を行う。プレ運用の段階から、対象車かどうかを問わずに実施してきた。業務を「ルーチンにする」(土田千恵会長)ことで、作業手順の習熟を進めてきた。カマドも自動車検査員による車検証の確認と、支援システムを活用することで検査漏れの予防に力を入れている。
この3社に共通するのが、将来を見越して早くから手を打ってきたことだ。ツカサ工業の佐藤社長は「進化した車の安全を担保するのがわれわれの仕事」との考えから、プレ運用の段階から着実に実績を積み上げてきた。
福井自動車も早くからOBD検査の情報収集に力を入れて現場に落とし込んできた。ここ最近、毎年のように整備に関する法改正が行われていることから、「一つずつ見直さないと(変化に)対応しきれない」(土田会長)からだ。
また、3社はOBD検査の認知が一般客に広まっていない点も指摘する。最近の新型車にはカメラやレーダー、センサー類などで構成する先進運転支援システム(ADAS)が実装されていることを知るユーザーは少なくない。しかし、それらが「OBD検査の対象となっていることは認知されていない」(カマドの荻田康光専務)のが実態だ。顧客一人ひとりにOBD検査を説明し、理解を求めていくことも重要になりそうだ。
整備戦略9月号では特集「OBD検査は“当たり前”になる」を掲載します。


















