春先は花粉の飛散などにより車体の汚れが目立つことから、洗車への需要が高まる時期でもある。かつては無料で実施するディーラーや整備事業者が多かったが、ここ最近は有料とするところが目立っている。高性能の機器に入れ替えるなどし、顧客満足(CS)の向上につながる洗車サービスの実現に取り組む。洗車そのものを手間に感じるユーザーが少なくない中で、各社はきれいな愛車に乗りたいというニーズに応えることで、顧客とのつながりを深めようとしている。
日産サティオ埼玉(河岸正和社長、さいたま市中央区)は、全店舗に設置している洗車機の入れ替えを順次進めるとともに、洗車の有料メニュー化に力を入れている。川越店(埼玉県川越市)の井口豊店長は「顧客に気持ちよく帰ってもらうため」と、洗車に力を入れる理由を説明する。
同店の洗車メニューは3種類で、このうち2種類は3回もしくは5回の洗車チケットを設定しており、リピーターの獲得を目指している。新車を購入した顧客には初回車検までの6カ月点検のタイミングで、「CSの洗車」と呼ぶ無料サービスを提供している。これが来店の基盤となり、初回車検の取得以降も半数近くの顧客が同店で洗車を利用しているという。
CSの洗車は通常、点検を担当する整備士が行う。ただ、サービス工場の稼働状況や他の顧客を待たせている場合は、他の整備士や営業担当者がカバーすることで、洗車であっても必要以上に顧客を待たせないように留意している。
洗車の品質向上にも取り組んでいる。同店では昨夏、洗車機と組み合わせて使用する純水装置を導入。水に含まれる不純物を取り除き車体に水あかを残りにくくするもので、きれいな仕上がりにつながっている。また、具体的な時間は測定できないというものの、洗車後の拭き取りの手間が軽減されたという。中古車の小売り車両の手入れにも役立っているという。
東京都武蔵野市で車検や整備などを手掛けるGOTO(後藤一敏社長)は、新たな事業の柱として23年7月に本荘興産(平井新一代表、岡山県倉敷市)が展開している「クルビー(くるまの美容室)」をオープンした。それに合わせ、従来無料としていた洗車を有料化した。2025年9月期に、クルビーだけで約1700台の入庫があり、繁忙期の週末は1日7、8台の洗車を行っているという。
同社では22年に国の事業再構築補助金が認められたことで、注目していた洗車・コーティングビジネスに乗り出すきっかけになった。最近では車検や点検だけではなく、洗車やコーティング目的の来店も多い。
後藤社長は洗車をきっかけとした車検の集客や既存客との相乗効果が「一定の成果が出ている」と評価するものの、洗車は独立したビジネスとして行う方針を示す。洗車の取り組みをアピールするため、ホームページやグーグルマップ、隔月で発行しているニュースレターで洗車の情報発信に力を入れており、将来の多店舗展開も視野に入れている。
整備戦略4月号では特集「洗車がプラスアルファを生む」を掲載します。



















