マツダは5月21日、主力SUV「CX-5」を9年ぶりに全面改良し、同日発売したと発表した。世界販売の4分の1を占める基幹車種で、特徴であるスタイリッシュな外観デザインは継承しながら後席乗員スペースを拡大。音声認識機能や大型ディスプレーを採用し利便性を向上した。スタート価格を330万円(消費税込み)に抑えることで、他社ユーザーの取り込みを狙う。国内販売が伸び悩むマツダは、商品力を高めた基幹車種の投入をきっかけに、販売現場の活性化につなげたい考えだ。
新型は、ユーザーに「末永く愛されるクルマとなる」(山口浩一郎主査)を開発テーマに、日常での使い勝手の良さと、「新世代価値」の実現を意識して進化させたという。
特にこだわったのが、後席と荷室の広さだ。先代で好評だった「魂動デザイン」は生かしつつ、ホイールベースを115ミリメートル延長した。後席の乗降性を改善するとともに、頭上空間を29ミリメートル、膝前空間を64ミリメートル拡大。足元にスーツケースが置けるゆとりを持たせた。荷室もベビーカーを縦方向に収納できるよう、奥行きを45ミリメートル拡大した。
上級グレードには15.6インチのタッチ式大型ディスプレーを搭載する。米グーグルの音声アシスタント機能も搭載し、声や指先で目的地の設定からエアコン、駐車支援機能までを直感的に操作できる。新たな電子プラットフォーム「マツダE/Eアーキテクチャー+」の搭載により、動画や音楽アプリも車内で楽しめる。マツダのソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)対応の先導役と位置付ける。
パワートレインは、排気量2.5リットルの自然吸気4気筒ガソリンエンジンとマイルドハイブリッドシステムの組み合わせのみとした。先代で好評だったディーゼルエンジンは、欧州の排出ガス規制「ユーロ7」への対応を見据えて廃止とした。ただ、国内仕様の最高出力は178馬力と、欧州仕様の141馬力よりも高めており、加速時にはモーターもアシストする。
マツダの国内販売は、25年度が前年度比5%減の14万4000台だった。26年度は15万3000台、30年度には20万台水準への回復を目指しており、実現には新規顧客の獲得が不可欠となる。その中で、グレード体系は分かりやすさを意識し、上位から「L」「G」「S」の3つに絞った。競合モデルがハイブリッド化で価格が上昇する中、廉価グレードは330万円に抑え、コスト競争力でも勝負する。
欧州では昨年末から発売しており、米国に続いて国内でも満を持して投入する。国内販売で苦戦する中、新型CX-5の発売に合わせて、俳優の綾瀬はるかさんをブランドアンバサダーに起用。ブランドの身近さや温かみを伝えていく。
今年度も続く米国の高関税を打ち返し、収益を確保する上でもCX-5の役割は大きい。さらにサプライチェーン(供給網)維持の目安とする、国内生産70万台からの上積みでも大きな役割を果たすことになる。
毛籠勝弘社長は「(関税影響を)打ち返すには売り上げを伸ばすことに尽きる。CX-5をグローバルに投入し、しっかりと伸ばしていく」と語る。




















