日産自動車の米国法人は5月6日を「V6デー」と定め、現地でファン向けのイベントを開催した。多くの米国仕様車に搭載されたV型6気筒エンジンに焦点を当てており、「長期ビジョン」でも新型車への搭載を予告した。日産アメリカズのクリスチャン・ムニエ会長はV6エンジンについて、「今後も何年にもわたって、日産のラインアップにおいて重要な役割を果たす」としている。米国市場では政権の方針も相まって、内燃機関への回帰が鮮明となっている。
ローマ数字で「V」は5を意味することから、5月6日をV6デーと位置付けた。初回の今年は、SNS(会員制交流サイト)の自動車愛好家向けチャンネルと共同で、カリフォルニア州でイベントを開いた。
日産のV6エンジンの歴史は1980年代の「VG」エンジンにさかのぼり、今も「フェアレディZ」や「アルマーダ」「フロンティア」など、車型を問わず高性能車に搭載されている。走行距離が長く、大パワー車が好まれる米国市場では、日本車への信頼性も相まって支持されている。
日産は「引き続きV6エンジンの性能向上を進め、V6デーへの参加を全てのブランドに呼び掛ける」とする。4月に発表した長期ビジョンでは、新型「エクステラ」など、V6エンジンを搭載した現地生産のラダーフレーム車を拡充する方針を示している。デカード工場(テネシー州)では、4月にエンジンの生産が累計2000万基を達成しており、このうちV6エンジンは650万基を占めるという。
日産アメリカズのクリスチャン・ムニエ会長は「スポーツカーのスピードから、トラックやSUVの力強いトルクまで、V6エンジンは性能と信頼性のバランスを実現してきた。私自身にとっても何百万人の米国人ドライバーにとっても特別な存在だ」とコメントした。
V6エンジンが再評価される背景には、市場環境の変化があるとみられる。走行距離が長く、高速走行も多用する米国では、ハイブリッド車(HV)を含む内燃機関車の需要が根強い。さらに、トランプ政権が環境規制や企業別平均燃費基準(CAFE)の罰則を無効化するなどしたことで、電気自動車(EV)普及の機運がしぼんでいる。各社がEV戦略を見直す中、日産も今月までに現地でのEV生産計画を中止することを明らかにしている。
今後は顧客ニーズに合ったパワートレインを提供する方針で、イヴァン・エスピノーサ社長は4月、「(戦略に)柔軟性を持たせ、顧客が望む技術を選択できるようにしていく。競争力のある内燃機関への投資を続けていく」と話した。
一方、足元では原油価格が高止まりしており、カナダでは依然、2035年をターゲットとする厳しい温室効果ガス規制も残る。日産はHVを含む電動車の展開も急ぎつつ、使い勝手と信頼性が評価されている内燃機関車の競争力を高めていく方針だ。



















