デンソーは3月31日、2030年度の売上高を8兆円、営業利益率10%以上を目指す中期経営計画を発表した。前中計からの電動化や先進安全運転システム(ADAS)といった成長の布石を生かしつつ、収益基盤のさらなる強化と、半導体やFA(ファクトリーオートメーション)などを拡大領域に据えて成長戦略を加速させる。
2030年度を最終年度とする中計「コア2030」では「商品づくりの強化」「ものづくりの革新」「人づくり・パートナー共創」の3つの柱を掲げた。同日、都内で記者会見を開いた林新之助社長は「変化の時代においてもわれわれが築き上げた強みを礎に世界中の顧客や社会に必要な新たな『コア』を作り続ける」と述べた。
第1の柱である商品戦略については、これまでの電動化や知能化関連の競争力を引き上げる。電動化商品では、重希土類フリーモーターを29年度、磁石レスモーターを30年度に市場投入する方針だ。
電気自動車(EV)の性能を左右するSiC(炭化ケイ素)半導体はウエハコストを30%以上削減する技術を採用した製品を27年度に投入する。デンソーは半導体大手のロームに買収提案を行っているが、半導体に関しては自動車向けだけでなく産業機器や民生機器向けにも拡大し、収益を引き上げる。林社長は「(再編については)様々な可能性がある。柔軟に的確、スピーディーに考えていく」と述べた。
自動運転(AD)/ADAS関連ではインフラ協調と先端AIモデルに対応したシステムを30年度に投入する。ADASを支える技術として消費電力を25%削減する空冷のSoC(システム・オン・チップ)を30年度に投入する。
EV向けでは東京大学と共同で研究、開発を進める走行中無線給電システムの市場投入可能時期を29年度とする方針を掲げた。東大とは30日に連携協定を結んだ
ものづくり革新では、現場の知見とAIを組み合わせることで、生産性を飛躍的に工場させる。AIで産業用ロボットを制御する「フィジカルAI」を27年竣工予定の善明南工場(愛知県西尾市)に導入し、その後、外販を進めていく。FA領域の売上高は25年度(見込み)の800億円から30年度に3000億円まで拡大する。
林社長は25年度までの中計を振り返り、「収益性の改善が課題」と述べた。30年度の営業利益率は、25年度見込みに対して2.8ポイント高い10%、自己資本利益率(ROE)は2.9ポイント高い11%を目指す。電動化やADASなど基盤技術の深掘りとシステム統合によって付加価値を高め、利益率を引き上げる方針だ。また、40年度の長期目線では、半導体やFAなど非モビリティ領域の売上比率を3割まで引き上げる成長戦略を描く。


















